The Greater Times

昨夜もかなり酔っ払ってしまったのだった。

でもまあ、具合も悪くならなかったし別にそれはそれで良いのだが、問題はタクシーを降りてからだったのだ。我が家の前で降りたのだが、そこからの記憶がない。次に記憶があるのは、何故か家の前の駐車場で、車止めを枕にして寝ていたようで、寒くて目が覚めた時である。つまりタクシーを降りて家にたどり着く前に、何故か駐車場で横になって寝ていたのであった。

これは衝撃である。何故ホームを前にしてホームレスのようなことをしているのか。約30分くらいだろうとは思うがよほどの眠気だったのだろうか。何もそこまで・・・、と思わず自分でツッコミを入れてしまった次第である。えー、もう30過ぎなんだから気をつけたい。

しかしウケるのは所謂モッズコートのようなものを昨日着ていたのだが、元々何故モッズの方々がそういう軍隊払い下げのようなコートを着ていたかというとどこでも寝られるように、という意図があってだった、という話を聞いたことがある。昨夜の私はまさにそのような正しいモッズコートの使い方を期せずしてしていたわけであり、昨夜はおそらく世界中の他の誰よりも、The Collectorsよりも、Paul Wellerよりも私が真のモッズだったのだ。我が家の地区が昨夜はブライトンだったのだ。「さらば青春の光」状態だったのだ。

とは言えいやはやなんとも、トホホな話である。Electrelaneの「No Shouts No Calls」を聴く。前作Axesで私は初めて彼女達のことを(『WIRE』を通してなんだが)知ったのだが、Steve Albiniが録音担当してほとんどスタジオライヴで作られた前作に比べると、驚くほど表情が違う作品になっていてビックリした。もともとインプロヴィゼーションから曲作りをやっていくらしく、インストの占める比重がかなり大きかったのであるが今作では真正面から「うた」というものに取り組んでいて、それがまたとてもクオリティが高いのだから唸らせられる。ポップになった、というよりはヴォーカルをきちんと考えてメロディも作っていったような感触で、全体としてはちょっとクールな感じであるにも関わらず、きちんと体温の感じられる音楽になっている。Too Pureだし、シンセの使い方とかビートの感触とかヴォーカルの感じとか、どことなくStereolabを想起させられたりもするのだが勿論それは良い意味での話である。何と言うかここまで引き出しが多いバンドだとは思っていなかった自分を恥じざるをえない、そんな快心作。普通にサラッと凄く良い曲があって、そんなさりげなさも魅力的である。