Move Me

最近、週末になると一週間の疲れがドバっと出て、とくに金曜の夜なぞ廃人に近い状態になって呻いていることが多い。というか最早人間の言語を発することができず、むにょーとかうきょーとかそういう言葉しか出てこなくなったりする。

というのは勿論過剰に色づけされた話ではあるが、どうも疲労が週末に出る、というのはそのままの事実である。で、今日も仕事なわけだが朝から何と、最早4年くらい通っている通勤路で道を間違える、というかなり衝撃的な事件が起きて一気に目が覚めたりした。

まあ、そういうのはウケるね、程度の話で済まされるのだが、問題はこの週末疲労ドバっって奴である。昔は週末に向う意気込みだけで乗り切れたようにも思えるのだが、思えばここ最近はそういう勢いでもなかったように感じられる。こういうことを自覚したときに人は年齢を感じるのだろうか。そしてつまらない大人になっていくものなのだろうか。

ということで金曜日の夜にイヴェントなんてある時は、思いっきりその日の仕事休んで臨む所存である、という爆弾発言は、実行されることはないものだけれども、あながち的外れでもないような気もしてくるから困りものだ。しかしまだまだつまらない大人にはならないつもりである。佐野元春「ガラスのジェネレーション」が聴きたくなるような言い回しだけれども。

でもなあ、実際年齢を重ねてくるとこうなるものなのだなあ、としみじみしながらGudrun Gutの「I Put A Record On」を聴く。御馴染み元Malaria!の、現Monikaレーベルオーナーの初のアルバムである。Malaria!と言えば全員女性メンバーの、ジャーマンニューウェイヴシーンに於いて大変重要なバンドであったわけである。Malaria!は下手とか上手いとか関係なく気合いの入った音を聴かせてくれていたわけだが、この作品でも形は違えども、何故かその気合いはビンビンに感じることができる。基本的にはサンプルと打ち込みとGut嬢のアンニュイなヴォーカルという結構クール目な音なのであるが、その手触りが物凄く面白い。ビートと上モノが微妙にずれているような、それでいて決してずれることなく最後まで進む、という非常に不安定な感じがアルバム全体を覆い、そこだけでも何だか不思議な感じであるが、実は曲毎にかなりテイストは異なっていて全体を貫くトーンは一貫しているにも関わらず、ワンパターンな、モノトナスな感じには決してなっていないのである。こんな音楽初めて聴いた。それでいて決してとっつきにくくはなく、あくまでポップソングとして成立しているのだから舌を巻く。すげえなあ、と驚嘆の声しか上げられない。タンゴ調だったり、ノイジーなバキバキのビートだったり、と色々聴こえてはくるが全体としてひんやりとした作品。クセになる音楽、という点ではここ最近ぶっちぎりかも知れない。Smogのカヴァーもあったり、そしてThird Eye FoundationのMatt Eliottも参加、という結構たまらない話題もある。