From Rivers To The Ocean

そう、何故このNag3を続けているかといえば、最初は私の文章の練習のためであった。その成果はとくにどこにも発表しているわけでもないのだが、さして効果はないものなのかも知れないなあ、と今更、開始して5年目にしてうすうす気づいてきてしまった。それは気のせい、として今後も練習を続けたいものであるが、やはりネット上でやっているからには他の意義、というか意味もそれに付加されてくるものである。

やっぱり、自分こんなにクールだし、ということをネット上でクドクドと表明したいから、とか愚痴とかを書きまくってストレス発散にしたいから、という理由があれば、それはそれでとても面白いのだが残念だが、そういうセンセーショナルなことは何もない。では何かと言えば、よく会う友人たちには勿論のこと、日頃なかなか連絡を取っていない友人たちに「こっちは相変わらずですよ」とかそういうことを伝えたいからかもなあ、ということに気づいたのである。

全く面白みのない理由で申し訳ないのであるが、そして勿論実生活上で知り合いでない方々もお読みであることは重々承知であるが、そういう「即身仏が土に埋められて死ぬまで鳴らし続ける鈴の音」みたいなものとしてこのNag3が存在するのも、ある意味事実なのである。鈴の音が鳴らなくなったら、私の身に何かあったと思ってもらっても構わないような、そういう勢いになりつつあるのだった。

ということで鈴を今日も鳴らす私なのであった。まだ生きているので即身仏にはなっていませんよ。ですからBill Callahanの「Woke On A Whaleheart」なんか聴いてますよ。Smog名義で御馴染みの彼の心機一転、本名での初のアルバムである。Smogも私は好きではあった。好きではあったのだが、アルバム1枚聴くのがちょっと辛いくらい濃密で、という感があったのは正直なところ否めない。ところがこのアルバムはどうだ。なんだこの爽快な、軽やかさは。否、勿論Tahiti 80みたいになった、とかそういうのはなく、相変わらずのスロー、且つメロディアスなナンバーを丁寧に歌い上げていく、というスタイルに大きな変化はないのだが、全体の雰囲気が軽やかになっている。風通しが良いというか。彼の声だって、今まではどちらかというと渋い良い声ながら、若干の単調な感じがあったのに、ここでは素直に美声やなあ、と感じさせるくらいの、そういう感じを受ける。The Howling Hexさん、というかMichael Hagertyさんのプロデュースのせいもあるのかも知れないが、ギターのアルペジオやらヴァイオリンやらゴスペル調のバックヴォーカルやら、取り立てて目新しい要素ではないものが、凄く新鮮に響く。曲だって、ストレートにポップで、フックを持つ楽曲ばかりだなあ、と感じることができる。素直に持ち味を出し始めた、と言う感じもあるが、このBill Callahanという男の才能にもう一度誰もが注目させられるのは間違いないであろう。しかし何だこのジャケットは・・・。