March Into The Sea

4月は何だか寄る辺ない気がしてならないのである。皆様はそうではないのであろうか。

世間では5月病というものがポピュラリティを得ているわけだが、私の場合4月初頭病が結構深刻だったりする。何だか変に寂しい気がしてきて色々な人と会いたくなったり、何か不安を紛らわせようとするのである。

コレは多分一種の職業病みたいなもので新しい年度が始まるに当たってなんだか色々刷新されてしまい、猛烈に不安が襲ってくるのだと思う。それで寄る辺なくなってしまい、年度とか関係ない何かを自分の中で求めてしまうのであろうと考えられる。

まあ5月病は結構深刻であるかも知れないが、この私の4月初頭病は慣れてくれば治まるのでさほど深刻ではない。しかしこの時期の休みの日の夕方などは変にさびしんぼう、というか物寂しい気になってしまって何だかやり切れないものがある。

意外にセンシティヴなのである、とか書いているのはそうではない証拠なのだけれども、まあたまにはこんな感じになってしまったりするのであった。大体中旬には治まるので、それまで何とか乗り越えてみようではないか。

しかしその後間髪いれずに五月病なんかになってしまったら実にイルな年度当初になってしまうので、それは気をつけなければならないなあ、とか思いつつModest Mouseの「We Were Dead Before The Ship Even Sank」を聴く。何でも初登場で全米1位になってしまったそうで(ちなみに2位はJoss Stone。全米1位2位の作品が我が家にある、というのも実に初めての経験だ)。凄い世の中だなあ、764 Heroとのスプリット、とか来仙ライヴ、とか随分昔の気がしてきたなあ。というわけで実は私も大昔聴いていただけで、実に久しぶりに聴いてみたのである。世界中がびっくりたまげたJohnny Marrの正式加入、という衝撃の出来事があったから、そこら辺の話題性ももしかしたら今回の全米1位に関係しているのだろうか。さて、音であるが、これがまたなんだか凄い。曲毎にアレンジがガラッと変わる変幻自在ぶりにまず驚く。ギター中心のバンド、という印象しかなかったのでアルバム冒頭いきなり足踏みオルガンの音色でスタートするもんだからまず度肝を抜かれたが、曲が粒揃いである。そしてこの異常にあっつい、そして結構シアトリカルなヴォーカルの気合いが何より凄い。もしかしたらコレで好き嫌いが分かれるかも知れないが、私としてはこういういヴォーカルには大いに慣れっこなので寧ろ好感が持てる。中にはCrime And The City Solutionみたいな、うらぶれた感じのナンバーなどもあって、コレが全米1位かあ・・・、と遠い目をしてしまうのであった(注:勿論良い意味で、である)。しかし何よりもバンドの一体感が非常に印象的だし、実にバンドが良い状態にあるというのがわかる力作。そしてとくに意識しなくても凄く頭に残るフレーズを奏でるギターがやっぱり良い。ギター中心とも思えないのにしっかりと印象的なギターが鳴っている。これはJohnny Marr効果なのだろうか。何だかこちらも気合いをもらえる作品である。