On The Brink

何と言うか、乳製品が食べられるようになったので前よりは暗くなくなっている自分に気づいた。

なんと単純、というか阿呆な、という感じであるがそうか、あまり気にせずに色々なものが食べられる、ということはかくも幸せなことなのか、と思い知らされるわけである。

そう、何の疑いもなく色々なものを口にできる、ということは実に幸せなことである。ここから発展して狂牛病にまつわる一連の騒動とか、不二家の賞味期限切れ問題とかは、そういった幸せを根底から揺るがす大事だったんだなあ、許せぬ、と今しみじみと感じる次第である。本当になんか今回の皮膚病にまつわるエトセトラで何だか色々なことを考えるようになってしまったのだ、水の問題しかり。皮膚病は本当に嫌なものだけれども、万事塞翁が馬、というかこのような視点を手に入れることができたのは良いことだったのかも知れない。まあ当然考えなければならないことなのであるが、よりリアルなものとして考えることができるようになった、というか。

と珍しくちょいと真面目になったくらいにしてThe Red Crayolaの「Soldier-Talk」を聴く。遂にめでたくCD化された1979年の作品である。LPではバキバキ聴いていたのであるが、こうしてCDになって聴くとまた違う感動がこみ上げてくるものである。ワーナー資本のRadarからリリースされたが故にこじれにこじれて再発がここまで延びたらしいのだが(思えばThe Pop Groupの「Y」Yも96年になってやっと再発されたものなあ・・・、って今画像貼り付けたら今年またRhinoから新たに再発が!?)素直にめでたい事件である。しかし、こうして聴くと何とも落ち着かない音楽である。Mayo Thompsonはいつになくハイテンションに素っ頓狂なメロディを熱唱、というか叫んだりしているし、ギターは、あれここまでジャキジャキだったっけ?と思わせられるくらいにアンサンブルからちょっと浮いた地点でカッティングをしまくるし、何だかやっぱり凄いアルバムなのである。落ち着く瞬間が一瞬もない、というのは本当に凄い。しかしそれは全く嫌なことではない。寧ろ熱に浮かされたようにどがーと聴けてしまうのである。Lora LogicやPere Ubuの皆様が参加していて演奏はとても勢いがあり、なおかつかっちりとしている奇跡的なアルバム。しかしやっぱりどうしても印象に残るのはMayo Thompson御大のハイテンションぶりである。やはり時代の空気を如実に感じて表現してしまったのであろうか。他のどのアルバムでも聴けないクレイヨラの姿が見える稀有な作品。本当に嬉しい再発である。