Vow Of Silence

あれだ、「桜」をテーマにしたJ-Popは今後一切禁止。

Throbbing Gristleの「Part Two」を聴く。遂に再生してしまったTGの新作である。世の中、何が起きるかわかったものではない。彼等が活動していない間、私はTGに目覚め、Psychic TVを聴き、Chris And Coseyを聴き、Coilを聴き、Zoskiaを聴き、とか色々としていたのだが、まさか本家本元の新作を聴く日が来るとは・・・。ということで恐る恐る聴いてみたのであったが、当然ながら音色はモダンな音色になっている。誰も「20 Jazz Funk Greats」みたいな世界は想像も期待もしていなかったとは思うが、どちらかというと末期の「Journey Through The Body」とかそういう、ダウナーなエレクトロニクス音楽の世界に近い。つまりはまあ、「ノイズ」という言葉のパブリックイメージからは随分離れた音になっている。寧ろ静謐な、という言葉が似合うような音世界ができあがっている。アグレッシヴ、という言葉からも遠いように思われる。しかし。だがしかし。この全体を覆う、冷たい荒涼とした空気はまさにTGならではのもので、それが30年近く経っても、使う機材が変わっても、そのまま保存されているように感じられるのには感動を禁じえない。Cosey嬢のギターもコルネットも相変わらずの不安を誘うような音色でこちらにやって来るし、多分今作の音的にはChris Carterのエレクトロニクス処理、プログラミング処理が一番貢献しているだろうと思わせる。というとChris And Coseyとしての、もしくはCarter Tuttiとしての作品でも良かったのではないか、という話なのであるが、やはりこの男、今や不気味なルックスになっているGenesis先生のヴォーカルが全てをもう一回地獄に落とすような勢いでこの荒涼とした空間に響くのである。以前よりももっと癖があって、何か不良っぽさ(笑)が増していて、それもちょっと可愛らしかったりするのだが、実は何かおっかねえのであった。あ、ちょっと生音的展開(ジャズっぽい瞬間があったり、とか)が多いのが以前との大きな違いかとは思うのだが、まあ、それもあくまで一要素に過ぎない。一言で言えば非常に不気味な作品である。しかし私は聴き続けるであろうことは間違いない。