Warum

そうなのだ、私はこないだ一大決心をしたのであった。

と忘れているぐらいだからまあ、大したことではないのであるが、それは「愚痴を言わない」ということである。

今までもそんなに愚痴っぽくない性格だったのだが、何かここ最近愚痴を聞かされる機会が多く、うわこりゃたまったもんじゃねえな、と思ったことも一因としてある。周りの人にたまったもんじゃねえな、と思わせるのもなんかなあ、ということである。

と同時に愚痴を言うことがあまり生産的ではない、というか決して前向きになれない、というか気持ちが落ち着かない、ということにも気づいたからである。愚痴を言う、ということは嫌な体験をその場のみのものとせず、引っ張り出して頭の中で再構築してそれを話す、ということである。その再構築の過程に於いてまたその時に体験した、イヤーな気持ちを甦らせる羽目になってしまうわけで、それでは全く落ち着かないし、気持ちも安らがないであろう。

別に前に進めないから、とかいう理由は思いつかないのが私らしいところで実に面白いのだが、気持ちの堂々巡りをするだけで、しかもそのたびにイヤーな思いを自分で組み立てながら行くわけだから、ちょっとこれでは病んでしまうと思ったのである。さっぱりと嫌なことは忘れたいものではないか。

ということで前向きに聞こえるかも知れないが、まあ、たまには。ということでPoleの「Steingarten」を聴く。ちょっと~scapeレーベル周辺からは距離を置いていた私ではあるが、この作品は実に面白い。前作ではラップ入り(Five DeezのFat John!)とかだったのだが、今作ではまたインストに戻っている。しかしこれがハンパない音の連なり具合でびっくりさせられた。一応ミニマルっぽいのではあるが、実は結構メロディアス、音色もポップ、しかし低音のぶっとさはダブやらヒップホップやら全て飲み込んでいて流石ベーチャンたたき上げ、というか何と言うか。この間まではどことなくモノトナスな感覚が売り物だったように感じているのだが、今作に於いてはある意味カラフルな、ヴァラエティ豊かな音世界になっている、と書いたがあくまで比較的、という話である。ほらジャケからして今までとは違う感覚がバキバキである。ちなみにこれ聴いているときに電話で話していたら、電話口の向こうの人が「今聴いてるのThis Heat?」と言ったぐらいの音の強度であることも追記しておかねばならない。