New Killer Star

何と言うか一向に良くならない我が皮膚病に業を煮やして、ちょっと異色の医者のところに行ってみたのだ。

そこで私は衝撃、というか謎の体験をした。こんなことってあるのか、という体験を。

まずここ一週間くらい自分の食べたものを全て書き出す。しかも手書きでなければいけない。これは事前に準備しておいたのだが、その紙を置いて右手の人差し指で、その書かれた食品の名前の上を1つずつ押していくのである。その際、看護婦の左手が私の左肩に載っていて、また彼女の右手は医者の左手を掴んでいる。

ということをやったのであるが、何か自分がアレルギーを持っている食物の名前の上を指で押すと、筋肉反射が起こるらしい。それだけでマジかよ、という事態であるが、毎回毎回「マーガリン」と「エビ」のところでそれが起こるらしい。マジかよ!!

また、「乳製品」とか「小豆」とか「甲殻類」と書かせられて、そこを指で押さえるのだが、やはり「乳製品」と「甲殻類」のところで筋肉反射が起こるらしい。ということで3ヶ月くらいちょっとこれらを食べるのを控えてみたらどうか、と言われた。これが一番マジかよ、というか、嘆くべきことなのであるが。

まあね、信じるも信じないも私次第だとは思う。でもここまで謎なことに畳み掛けられると、いくらこんなに即物的で目に見えるものしか基本的には信じない私であるのに、何か信じてしまうのである。ちなみにこの医者は歯医者さんなのであるが(とここだけではかなり胡散臭く思われてしまうな)、東洋医学とかもかなり研究しているらしい。そうか、東洋の神秘って奴なのか(不明)。

しかし人間の身体って本当に不思議なんだなあ、としみじみ感じさせられた。私なぞ32年とちょっとの付き合いをしているのだが、いまだにわからない、自分の身体って奴が。

と平静を装っているが、乳製品×エビカニ×、という事実と共に私は3ヶ月生きていけるのだろうか。不安は残るがDavid Bowieの「Reality」を聴いていた。目下の最新作である、って2003年作品だが。実はこのときのツアーは武道館まで見に行っており、途中でスピード違反で切符切られたのも良い思い出だ、なんてことは口が裂けても言わないが、ライヴは素晴らしかった。声にもハリがあるし、何よりもエンターテイメントたりえていて「本当に良い曲ばっかだなあ」とか思ってしまった記憶がある。で、このアルバムであるが、無理なくエネルギッシュな彼の姿が思う存分堪能できる、充実したアルバムなのである。私はどうしても「Low」だ「Heroes」だ「Hanky Dolly」だ、という人間ではあるのだが、このアルバムの狙っていなさ加減、リラックスした風情、というのもまた好ましいのである。曲も印象的なフックを持った小気味良いナンバーと深い水面下で動いているようなナンバーとがバランスよく入っていて飽きない。還暦を迎えた彼だが、さて次の一手はまだであろうか。ちなみにどうしても1曲目は椎名林檎「歌舞伎町の女王」、2曲目のThe Modern Loversのカヴァーは矢井田瞳の「Andante」とかを思い出してしまう。多分勘違いだろうけど、それくらいの瑞々しさ、エネルギッシュさが漲っていることの例だと考えてもらえればこのアルバムの具合がわかっていただけるであろうか。しかしこのジャケはどうなんだろうな。