Feed The Enemy

逮捕された人でホリエモン、という人がいる。

別に彼に関しては何の感情も持てない、というか弁護もしないし非難もしない、というくらい興味がない私であるが、彼のインタヴューで唯一、ほほう、と思ったところがあったのだ。

何か彼が法廷で涙した理由について聞かれていたのだが、確か、有言実行よりも、何も言わないでやるのが好きなのにこんなことまで話さなきゃわかってもらえないのか、と情けなくなって泣けてきた、とか答えていた。つまり、こんな風に話さないとわからないくらい相手がバカ過ぎて泣けてきた、とか答えていたのである。

まあ、前後の文脈は無視して、この発言は大いに共感できるものである。そう、世の中まあ、話さなきゃわからないことはあるのは確かではあるが、見てればわかるだろ、ということが多々ある。お前には想像力はないのか、と問いたくなる場面が多々ある。おお、初めてホリエモンに共感できた。

しかし共感できたとて、また同じようなことを考えているとて、彼は巨額の富を築けたのに、私にはそれができない、ってのが実に不思議だ。やはり逮捕されちゃうくらい、疑わしいラインでギリギリのことをしなければならないのか、と物悲しくなったところでMagazineの「Secondhand Daylight」を聴く。79年のセカンドである。実はファーストもサードも愛聴盤なのに、何故かセカンドだけ聴き逃していたのであった。で、このセカンドであるが、一言で言えばなんか沈鬱なムードが漂うアルバムである。ファーストに於けるエネルギッシュでアイディア豊富、という感じ、そしてサードのいびつながらもきらびやかな、そして重厚な感じともまた違い、Dave Formulaの特徴的なキーボードをフィーチャーしたり、John McGeochの多彩なギターワークをフィーチャーしたり、Barry Adamsonの変なベースが唸り、というこのバンドのトレードマークはしっかりとあるのだが、何か内に篭っている印象がある。しかし、それが悪い、ということではなく、その内側でとんでもなく大暴れしているような、不気味な感触がある。Howard Devotoのヴォーカルもかなり表情豊かに逸脱していて、何故か知らないが不思議にソウルフルに聴こえたりもする。何か実はパンク上がりでプログレ一歩手前でギリギリのポップになっている、というのはこの2000年代でもバリバリに通用する優れたセンスだなあ、としみじみ思ったりした。