Here It Comes Again

しかし暖かい冬だったなあ、とか思っていたら普通そろそろ暖かくなる頃にガツンと寒くなったりして、随分自然って奴は人間様にご立腹のようである。

しかし1940年代から大体70年代くらいには、今とは真逆で地球冷却化が心配されたりしていたわけで、そう考えるとやはり自然って奴は人知の及ばない何かと共に常に動いているのだなあ、と改めて感心させられる。そんなおっかねえ奴と一緒に暮らして行こうとしているわけだから人間ってのも本当に命知らず、というか実は結構よくやってる、というか頑張ってるのかもなあ、と思わせられたりするのだった。

まあそんな別にでっかい話をしようとしているわけではなく、単に不安定な行きつ戻りつの天候のせいで、体調がおかしいのでどこに怒りをぶつけたら良いのやら途方に暮れて、まあ自然って奴がこんな奴だからしょうがないのだな、と自分を納得させたいだけなのである。

だるいのであるが、Tracey Thornの「Out Of The Woods」を聴く。Everything But The Girlの歌姫のソロアルバムである。ところでEBTGのアルバムは出ないのですか・・・?ずーっと待ってるのですが・・・。思えば20何年ぶりのソロなわけである。で、これがすんごく良いのである。ここ10年くらいのEBTGの傾向からいって、バキバキに電化された音楽になるのかな、とか思っていたらストリングスを大フィーチャーした生音ナンバー、アクースティックギターの響きとピアノの音色が印象的なナンバーなど、結構ある意味予想を裏切られた感がある。と同時にまあ、エレクトロニカ的、というかそういうナンバーもあったり、はたまたディスコビートの効いたArthur Russellのカヴァー(!!)があったり、と結構ヴァラエティに富んでいるのだった。しかし「色々詰めてみましたよ」的なごっちゃり感は全くなく、全てがアルバムの中で必然性を、意味を持って収まっており、そのまとまり具合には素直に感動する。不思議だなあ、とか思っていたがまあ、結局はTraceyの声が全てを締めているのだから当然と言えば当然なのか。そう、彼女の声がまたやっぱり、素敵なのである。ちょっとEBTGの時とは印象が違うな、というくらいに聴こえるナンバーもあったり、おおMarine Girlsの時みたいな声だ、と思わせられる曲もあったり、実は変幻自在だったりするのかも知れない。この間のEBTG紙ジャケ再発で心動いた人も、今までEBTG聴いたことない人も、多分皆満足できる、凄く丁寧に作られた感のある、安心できるアルバム。