Baby Let Me Follow You Down

「SHOP 9○」という99円ショップがある。最近では畳まれる店舗もあるようだが、我が家の近所の店舗は生き残っているのでよく利用する。

この「SHOP ○9」ではどの店舗にも言える特徴として店員の数が少ない、ということがある。レジ前長蛇の列は日常茶飯事であり、逆にそうなってないとおかしいと思えてしまう程、客をマゾヒスティックにしてしまう。

最近もよく利用するのだが、ふと気づけばどんどん店で扱う品物のヴァリエーションが多くなっていて、レジのところで焼き芋を売り始めたのだなあ、と思っていたらこの間はレジのところで中華まんが登場していた。それは幅広い客のニーズに応える、と同時にレジ前の長蛇の列が更に伸びていて、万里の長城というのはこういうものなのか、と思わせられるくらい(当然ながら嘘である)の勢いであった。

また、明らかに店員さんが不慣れで、客に4回くらい注文を聞き直して中華まんを選び出したりしていて、まあ、これは店というか個々人の問題なのかも知れないのだけれどもこちらとしては単にポテトチップ一袋買うだけなのに5分くらい待ったりしていて、何とかしてくれよ、とか思う。しかしこれはもしかしたらスローライフというものの概念を我々のようにコンビニのスピーディな対応に飼いならされてしまった現代人に対して徹底的に叩き込もうとしているのかも知れない。そう考えると今のスローライフだかロハスだかの最先端を突っ走るのは「SHOP 9○」なのである。って言うかどうせロハスだのスローライフってのはそんなもんなんだろうよ!

と別に荒れなくても良い。まあ、上記のような問題もあれどよく利用しているのだから何とも言えない。ただなあ、店員が中国人の方とかで日本語が通じなかったりするときは流石にどうしてくれようか、という気になったなあ・・・。

安いからとてもありがたい側面もあるのだけれども、同時にこう、何かやり場のない怒りに駆られたりもする日々である。いつから日本はこんなになったのや、誰のせいなのや、とか意味不明な感じで。Bryan Ferryの「Dylanesque」を聴く。超待望の新作で発売日に胸躍らせながら買いに行く、って久々だなとか思いながらわくわくとニューリリースコーナーを探したものの、そのコーナーにはなく、普通にひっそりと「Bryan Ferry」コーナーに置いてあるだけだった。時代は変わる、ということか。この新作はタイトルどおり、Bob Dylanカヴァー集である。思えば前作にあたる名作「Frantic」Franticでも2曲もカヴァーしていたし、もちろんソロのファーストに於いてもカヴァーしてたわけだから取り立てて珍しいことではない。そして相変わらずDylanファンからは大ブーイングを食らいそうな勢いになっているのも変わりない。ただ、Ferry様の鼻歌化が更に進行しているところが今作のポイントか。昔から声張り上げてガンガンに歌っているような感じは、たとえ熱唱ポイントであってもあまりしなかったのだが、今作に於いては囁きというか呟きというか、そういう感じである。それは彼の声が出なくなってきた、とかそういうことではなく以前からのアプローチの進化形として、より自分の声を楽曲の中で効果的に聴かせるためなのだろう、と私は感じるのだが、それって単に悪いファン故の優しい見方なのであろうか。だから、全体的にとても力が抜けてサラッとしたカヴァー集に仕上がっている。それがどう受け止められるか。Dylanのヒリヒリとした感じを求める聴き手には不満であろうし、Roxy Music時代のエキセントリックなギラギラ感から抜け出せない聴き手にも不満であろう。しかしこれは原曲と真逆のベクトルでもって同じくらいのレヴェルにまで達した、意義あるカヴァー集なのである、と私は感じるのだが、それって単に悪いファン故の優しい見方なのであろうか。まあ、この音の感触だけで綻んでしまうような私が書いていることなのであまり参考にならないのは確かであるが。