All Must Be Love

朝起きたら、身体がまるでメキメキと音を立てて寝床から無理やり剥がされるような、そういう感覚を覚えた。

どうにもこうにも身体中のあちこちが痛い。とくに思い当たる節はなくもない。多分後先考えずに今この瞬間に全てを賭ける、的な無茶が先週は多かったように思い出されるので、その名残、というか当然の結果であろう。

しかし、そのような先週を過ごしたとて、多分別に過剰な運動だった、とかそういうことではないであろう、一般的に。しかし私にとっては今朝のメキメキ起床という結果になっているわけで、そこらへんのことを考えると強烈に日ごろ運動不足なのではないだろうか、という結論に突き当たるわけである。

そうだ、確かにそうだ。何だか先週は、上記のような無茶と、引きこもりと、料理とかをメインに生活していたように思える。それではいかん。青春を謳歌しようではないか、とか言える年齢では最早ないのは百も承知であるが。

今年は暖冬だったとは言え、一応冬は冬であった。本当に寒いと思える日もあった。しかしもう3月である。啓蟄、とか言う言葉もそろそろ聞こえておかしくない月である。だから春が近いのだ。私にも外に出て散歩でもする時が来たのではないか。

思えば植草甚一も、また埴谷雄高も、皆散歩の間に思索し、なんだかんだ言っているではないか。間章も植草に倣って散歩する、とか何とか言っていたし。それが果たして比喩的なものなのか、実際の散歩なのかは皆それぞれ違うのかも知れないが、どんな形であれ、散歩というものは正しい筈だ。しかも私の場合、思索なぞということなどは二の次で(というかそんな大それたことはできない)、まずは運動不足解消のために散歩しなければならないのである。また河原、というか土手沿いの道を歩く時が来たのかも知れない。

ということでこれからちょっと健康的になろうではないか、と気分も上向きになっているが、これは一過性のものでしかないということは私はよくわかっている。でもそういう気分で、また、こういうことをしよう、と今一瞬でも思ったことは大事なのでここに記しておこうと思うし、実際散歩でもしたい感じである。

まあ、もうちょいあったかくなったり、時間ができたりしたら、とか言ってるとなかなかできないのであるが、まあ、歩いてみよう。おお何か久々の明るいNag3であるが、やっぱりCrime And The City Solutionの「Shine」なんかを聴いている。1988年リリースのセカンドである。巷ではニューレイヴだグライムだ何だ、と忙しいようであるが私の中では今一番Crime And The City Solutionがあっつい。さて、このセカンドであるが、Roland HowardやEpic Soundtracksなど3人が脱退した後のアルバムである。しかしその穴を埋めるべくEinsturzende NeubautenのAlexander Hackeや元DAF、元Liaisons Dangereusesの故Chrislo Haasなど、なんだかとんでもないメンバーが加入しての新生クライムの第一弾なのである。これがまた実にバンドとしてはよかったのではないか、と思える出来上がりである。やはりファーストアルバム辺りまではどうしてもThe Birthday Partyの影が大きく、暗く覆いかかっていたように思えるが、この作品ではその影を払拭するかのように、躍動的なナンバーや、こみ上げ系のSimon Bonneyのヴォーカルが実に感動的なナンバーまで、結構粒ぞろいに仕上がっている。とくにどうしてもどうしてもNick Caveとの比較を免れ得ないSimonのヴォーカルが、同じ系統ながらもより柔軟性を見せ始めているのが実に面白い。また、Hacke(この頃はまだ若々しく美青年だった・・・)のギターは大正解で、Roland Howardの放電系、駆け抜け系とは異なり、しっかりとアグレッシヴなカッティングや、印象的なフレーズの織り込みなどを聴かせていて、地味ながらも素晴らしい。2007年のこの時期にこんなの聴いてていいのか、という思いもあるのだが好きなら好きっ、なのである。しかしよくよく考えてみるとこのバンドってこの時期から、ジャーマン・ニューウェーヴの系譜上にあってもおかしくないメンバーが集っているのに、出てくる音が全くその流れに乗っていない、という実に面白いバンドだったのだなあ。