The Day Wavers

ということで事情により今週は毎日晩御飯を作っているのだが。

私の限られた作れるメニューでは限界がありそうなので、新たに古本屋でレシピ集などを買い込んだりして、何だか毎日実に充実している。お料理以外のことは全く記憶にないくらい、実に充実している。

まあ、問題なのはお料理「も」充実しているならば良いのだが、お料理「が」充実しているのだから困ってしまう。というかお料理「だけが」楽しい、と言った方が早いのではないか、と思える、というか現にそうなっているのだからこれはどうしたものか。

まあ、生きていれば色々なことがあるものだけれども、こうなるだなんて3年前の自分からすれば全く想像もつかない。ブックオフ回ったり仕事したり、というのは余裕で想像がついていたのだけれども、エプロンしてフライパンの中身かき混ぜたりしている、しかもほぼ毎日のように進んでしている自分など、これっぽっちも想像がつかなかったものである。人間変わるものだなあ。

これは別に成長とかそういうものではなくて、ある種の逃避なのであろう、ということは自分でも薄々感じてはいるのだが、逆に言えばこんなにも逃避を求めるようになってしまったのか、という悔しい気持ちもちょこっとあったりするから人間というものはなかなかアンビヴァレントなものである。今日はちなみにポークカレー。バキっと辛さが効いていて美味しかった。明日は何を作ろうか。

と、逃避は続くのであるが、お料理のBGMにはSyd Barrettの2枚のアルバムが良い。とても良い。あとVan Morrisonの「Astral Weeks」。あくまで個人的に。で、今はCombopianoの「Growing Up Absurd」を聴いている。仙台出身、というかよく仙台市内でお見かけする、というか友人の友人なのだな、渡辺氏のユニットの最新作である。実を言うとこれまでの作品も聴いたりはしていたのだが、あまりピンと来なかったのである。ところがこの新作はビシバシと入り込んでくるアルバムなので驚いた。巷ではロックっぽくなった、とか評され、且つアバンギャルドだジャズだ、とかが好きな方はこのアルバムがあまり好きではない、とか仰っていたが、私はこの痛快なアルバムが大好きである。何より凄くスカッとするメロディを持った楽曲が多く、且つ演奏もタイトでスピード感があって大変に清々しい。勿論今までの路線(に近い)のインストナンバーとかもあるのだが、それらにしても無理なくしっくりこのアルバムの中に居場所を見つけていて、全然浮いていない。またヴォーカルが(Beth Ortonのサポートとかしたりしている方らしいが)David SylvianDavid Grubbsの中間を行くような、所謂「David系」(そんなんないのだが)ヴォーカルの美声でそこだけでもツボに入ってくる。John McEntireとかBrandon RossとかSubtleの瀬川氏とか参加メンバーも豪華ではあるが、それだけが売り、ということには決してなっていない快心の一撃。よく聴けば凄くミックスも丁寧で、ウェルメイドな作品というのはまさにこういうものなのだろう。何回も何回も何回も続けてリピートして聴いても飽きないのは凄いなあ、と素朴に思う。