Running Up That Hill

あれなんですかね、女子の方々って同性に対してかなり厳しいもんなんですかね。

マックで食事をしていたら、隣の席3つ(カウンターだったので)を占拠したギャル風のケバい女子の方々が、窓から見える同じくギャル風の女子に対してああでないこうでもない、と刺々しく批評なさっていたのだった。あれなんですかね、女子の方々って同性に対してかなり厳しいもんなんですかね。

私から見ればさほど両者の違いは認められなかったので、たまたま何か癪に障るような感じだったのですかね、と思いながらいたのだが、また別のギャル風軍団が窓の外を通れば同じように口汚く罵っておられたので、そうでもないようである。あれなんですかね、女子の方々って同性に対してかなり厳しいもんなんですかね。

でも私なんかから言わせていただければ、批評する方も、知らずとされている方も、両者とも派手で安っぽくてちゃちい感じに見えたのだが、あれなんですかね、女子の方々って同性に対してかなり厳しいもんなんですかね。

まあ、それは多分、30歳過ぎの男の枯れた目線で見たからであろうが、それにつけても言葉の残酷さは意外に的確で面白かった。ただ、空に向って吐いた唾は自分にかかるんぜ、というLou Reedの言葉を思い出したりもしたのである。近親憎悪、みたいなものなのだろうか。まあ、たまたま私がそういうのに出くわしただけなんだろうけれども、あれなんですかね、女子の方々って同性に対してかなり厳しいもんなんですかね。

Kate Bushの「The Whole Story」を聴く。86年リリースのベストである。つまり20年以上前の時点でのコンピなのであるが、この後彼女はアルバム3作しか出していないから、結構代表曲は聴けてしまう、という恐ろしい、時空を超越したような作品である。例のTV番組「恋のから騒ぎ」のオープニングもこのコンピに入っている。彼女の場合、多重録音の繰り返しで発狂した、という噂とか、強烈に踊りまくるPVとかなによりも怒涛のハイトーンヴォイスとかのせいでどうにもこうにもエキセントリックな印象が強いわけであるが、こうして聴いてみると、確かにぶっちぎりで個性的ではあるのだけれども、それが変、ということには全くなっていないのである。それどころか曲も丁寧に作られたメロディを持つポップな楽曲ばかりであるし。まあ、それを覆い隠さんばかりの勢いで何層にも織られたアレンジとか、ハイトーンヴォイスが炸裂するから、出会い頭の印象としてはとっつきにくいのかも知れない。しかしそのとっつきにくさは実は、聴けば聴くほど、という深みにはまる序章に過ぎないわけである。底なし沼のような音楽である。今では結婚してお母様になられて、という感じではあるが今のところの最新作に於ける才気走った感じは、やっぱり彼女の沼には全く底なぞない、ということをまざまざと見せ付けられるような思いであったし。このアルバムは、その沼への入り口、と言った感じであろうか。