Rapman

マリー・アントワネット』という映画を見てきた。何か凄い話題作で気がつくと我が街でもいくつもの映画館で上映されているようである。実際今日見てきたわけであるが、小さい映画館だったにも関わらず、日曜日ということもあってか物凄い人数がおり日頃そんな大人数と映画を見ることに慣れていない私としては、かなり緊張した。別に何がある、というわけでもないのだが、何故か緊張した。

さて、この映画であるが、

キルスティン・ダンスト萌え。

という感想だけだったら、多分ヒドイと思う。しかし彼女の口角上げた表情の可愛らしさに何度悶死しそうになったことか。ソフィア・コッポラは毎回可愛い女子を上手いこと使っていて、そこら辺もグッと来るのかもしれない(ただ、『ヴァージン・スーサイズ』は女子が多すぎてイマイチ印象に薄いのだが)。

しかしこの映画は非常に薄味の映画である。史実に基づいて作られているわけであるが、人間マリー・アントワネットがどうだったのか、というものに重きを置いているので、事件とか出来事とか他の登場人物とかはひゅんひゅん飛び去っていくような感じが残る。だからドラマとかどうこう、というよりはソフィア・コッポラが描くマリー・アントワネット像を受け入れられるかどうか、が全ての鍵だと思うのだ。だから、私が上記のように、キルスティン・ダンスト萌え、という感想を抱いたとしても、それだけあまりにも彼女に重点が置かれて描写されていくわけだから、仕方がないことなのである、と自分を正当化してみたり。私の場合は薄味ではあったとしても、なるほどなー、と思いながら見ていたので結構楽しめた次第である。

ただ、服装とか靴とか、そういうディテールの描写に結構な重きが置かれているので、ちょっと映画としては間延びするかもなあ、と思う瞬間もあったが、これは多分私がそういうものにあまり興味がない、ガサツな男畜生だからであろう。多分女子の方々はそういう部分も含めて、楽しめるのだろうなあ、と己を恨んだりもした。

そして音楽であるが、これは実に痛快な感じで「いきなりGang Of Fourかよ!」「ここでスジバンかよ!」「こんなところでThe Cure!?」「なるほどこういう風にNew Orderを!」といった具合で痺れた。前作『ロスト・イン・トランスレーション』でのラストのジーザスで号泣、という暗い過去を持つ私としては、またしてもソフィア・コッポラにやられた感で一杯であった。サントラ買わないとな。

Frozen Explosionのアルバムを聴く。88年にB-Boyレコーズからリリースされたアルバムの待望の再発である!って盛り上がってるのは八戸に1人と仙台に1人くらいか。クボタタケシ氏が以前フリーペーパーで紹介しているのを読んでとても興味を持ったのだけれども、レア盤過ぎて発見できなかった。しかし、この謎のタイミングで再発とは実に嬉しい限りである。白人ラッパーの唯一のアルバムであるが、これは何て言うのか、ここまでイナタイヒップホップは私は聴いたことがない。まあ、もともとヒップホップには明るくない私であるが、そう思わざるを得ない音である。しかしこの異常にソリッドなビートとエレクトロ臭漂うトラックの感じはなんか病みつきになりそうである。バウンスする勢いのトラック、というよりはそうだよな、Kraftwerk辺りの影響が大きいんだよなあ、もともとヒップホップってのは、と思い出させられる、そういう感じである。今やヒップホップというのはもう音的にもビート的にもかなり凄いことになってると思うのだが、そこら辺に慣れた耳には実に新鮮な、ベーシックな要素を組み合わせていかにグルーヴを作り出すか、という努力が見て取れる曲ばかりでなんかよくわからないのだけれども、盛り上がる。そう、思わずヤバイ、とか呟くような感じで。Deep Freeze氏のラップも声質の感じからかどこか淡々としているようで、クールである。まさにFrozen Explosion、というか何と言うか。何かついつい何度も何度もリピートしてしまう、中毒性の高い音楽でもある。ジャケも凄く格好良い、と思うのだがいかがだろうか。