Wasted Little DJ's

今日は行きつけのバー(「大吉」)に行ってきたのだった。

いつものようにバーカウンター(「大吉」のカウンター)に座ると隣には女子×3、男子×1の地味なルックスのグループがぎゃーぎゃー騒いでいた。

最初は恋愛のトークで1人が皆から笑顔で突っ込まれる、とかそういう感じのポップなノリだったのだけれども、私が2杯目のビールを注文する頃には親の話とか仕事の話でぎゃーぎゃー、というモードに移行していた。

私が注文した焼き鳥にぱくついていると、いつの間にか話はどんどん、どうしようもないくらい泥沼に突入していって、さっき恋愛トークで突っ込まれていた女子が語りまくって、他の女子2人組に語りまくられながら突っ込まれる、という世界になっていた。

重いなあ、と思いつつビールからハイボールに移行した私であるが、どんどん話は深まりすぎて、煮詰まりすぎて、突っ込まれていた女子は泣くわ、他の2人の女子は彼女におしぼり投げて帰るわ、捨て台詞を吐き捨ててバー(「大吉」)の扉を勢い良くぴしゃりと閉めて出て行くわ、という最悪のエンディングを迎えていてウケた。

やはり人間、誰でも「語りたい欲」があるのだと思う。そして性質が悪いことに馬鹿な奴ほど「語りたい欲」が強いのだと思う。そういう連中は普通の正論をいかにも自分が考えたこと、そして絶対的に正しいこととして無理やり語りたがるものである。そういう馬鹿はお酒に対する敬意が決定的に欠けている。「お酒飲んでるから語る」とかそういうエクスキューズなんて考えている奴は酒の池に溺れて死ぬが良いのだ。でも、そういう馬鹿に限って語りたがるわけだから、上記のバー(「大吉」)での光景のように陰惨な結果に終わるのである。まあ、上記のケースでは女3人とも語りたがる馬鹿だった、というのが悲劇的だったわけであるけれども。どう考えても埒が明かないのは目に見えているわけだからねえ。

まあ、要は酒の席は楽しく、ということを私は訴えたいだけである。気持ち悪くなっても、記憶なくしても、酒の席に於いては楽しくやらねばならない、と思うのだ。そうでなければお酒に失礼なだけであって、そういう場合は祟りに遭うだけである。

The Viewの「Hats Off To The Buskers」を聴く。デビュー盤である。よく知らないけど、若いんでしょ?というくらい昨今の新しいUKバンド事情に疎いおっちゃんである私であるが、これは本当に最高だ。よくよく見ればプロデュースがOwen Morrisである。OasisもVerveも彼の手によるところなのでUKバンドのエリートコースに乗っかってるのかもなあ、とも思えるが、この勢いのよさ、そしてメロディのポップさは実に新鮮で物凄く盛り上がってしまった。なんかツボを押さえた曲の展開とか、良い具合にスローナンバーやらスカっぽいナンバーを挟み込んできているところとか、実にセンスが良い。単に勢い一発じゃないんだぜ、ってところを最大限に出してみました、という感じも否めなくないが、それが実に高レヴェルだから恐れ入る。で、勢いあるナンバーは本当にTeenage Fanclubの初期を思い起こさせる瑞々しさというか、清々しさというか、いきなりシンガロング可なポップさだから本当に凄い。久々にビックリさせられた。The Arctic Monkeysにも随分興奮させられたが、それを上回るツボ具合である。ドラムがちょっと弱いところも何か可愛い、というぐらいに贔屓目にさせられてしまった。ちなみにamazonの知ったかぶりしまくりのレヴューを読んでみたら「まだ未完成」とか書いていた。当たり前じゃろが。だからこそこんなに凄くガンガンに響いてくるんじゃろが、と思ったりした。でもこういう新しいイキの良いバンドは30過ぎのおっちゃんがどうこう言うよりはもっと若い世代の方が熱狂的に盛り上がってくれると思うので、こんなおっちゃんの戯言なんかに耳を傾けちゃいけないぜベイベー、という思いにも駆られた。そういう風に思わせてくれるだけでも、このバンドは良いと思うし、多分私は今酔っ払っているけれども良いお酒の飲み方をしたなあ、と思った次第である。