Pablo Picasso

ということで、土曜日のイヴェントは終了。ライヴ中とその後のフロア、というか会場の落差が個人的には面白かったです。

Harlem Shuffle Vol.2 2006.12.1.(Fri)@Club SHAFT (Sendai) 21:00〜 \2,000 ( 1 Drink )

●Guest DJ●
鳥井本英樹(SINDBAD)

DJs:tmym, tdsgk, Kenji Maesawa

club shaft::  http://www.clubshaft.com/
HIGHCONTRAST::  http://www.vividsound.co.jp/highcontrast/

よろしくです!

ということで最近「The Record Shop : 30 Years Of Rough Trade Shops」という2枚組のCDを聴いている、というかブックレットを読んでいる、というか色々考えたりしている。このCDは何か、というとイギリスのRough Trade Shop(レーベルのラフトレとはまた別)の30年を振り返る企画盤で、何が面白いか、というと縁の深い有名人がラフトレショップで購入した音源の中から1曲選び、またブックレットでその曲や、ラフトレショップについて語り、ショップのスタッフがその有名人について語る、というものである。正直店頭でこのアルバムを見かけた時は、まあ大体知ってる曲ばっかだからなあ、とか思ったのだが尋常ではないブックレットの厚さに何か感じるものがあったので「読み物」としても楽しめるであろう、と購入したのであった。そうしたらやっぱり収録されている曲は面白いは、ブックレットは面白いわ、で大層良いお買い物をしたものだ、となったのであった。Domino,Mute, XL, Heavenly, Rough Trade, Wiijaなどのインディレーベル社長たち、Bobbie Gillespie, Bjork, Ana Da Silva, James Murphy, Peter Christopherson ( Throbbing GristlePsychic TV〜Coil), Youth, Thurston Mooreなどのミュージシャン、その他Paul SmithだったりTV俳優、コメディアン、クリケット選手等など、そういった方々が思い思いの1曲について語り、またその客についてスタッフが愉快なエピソードを交えて紹介、という内容である。だから、このCDの主役は収録されている曲群、というよりは紹介している方々、と言っても過言ではないような感じである。

これがまた笑える。来店時のエピソード、その時のスタッフの対応の爆笑エピソード、等など。勿論曲もThe Modern LoversだのMekonsだのKleenexだのMatmosだのSchneider TMだのBikini KillだのThe Carter FamilyだのNonだのThe Soft BoysだのLardだの、本当にてんでバラバラではちゃめちゃなのだが、本当にこれは掛け値なしにどの曲も凄く面白い。知っている曲も知らない曲も全く並列化されて並べられているが、単なるコンピCDとしてもこれは大変に楽しめる。ヒップホップ〜ノイズ〜ジャズ〜ニューウェーヴエレクトロニカ〜ロック、と珍しくジャンルを列挙してみたが(あくまで目安)、それらを全て縦断して楽しめてしまう。痛快である。一気にドバーと聴けてしまう。

そしてこれらの曲を聴き、ブックレットを読むにつれ思うのは、レコード店と客の幸せな関係がある時代は終わったのだろうか、ということである。最近知り合った音楽好きの友人たちは、皆大体インターネットの通販でレコードやCDを買う、と言う。確かに我が街仙台では、東京のようにあらゆるジャンルの新譜が網羅してあったり、というような店は今やなくなってしまった。とくにDJをしている方々なぞは、どこでレコード買えば良いのか、という状況なのかもなあ、ということは、大体は想像がつく。確かにこのラフトレショップのCDのブックレットみたいな、店のスタッフは客のことを覚えていて、また客はショップでめぐり合えて良かったレコードについて語る、とかいうことはもう消え行くことなのかも知れない。だからこのブックレットにしても、最早ノスタルジーの塊なのかも知れないし、10年後、20年後には意味がわからないことになってしまっているかも知れない。

私にはそれが良いことなのか、悪いことなのか全くわからない。まあ、個人的に言えることはちょっとやっぱり寂しいなあ、ということくらいである。ネット通販で聴きたいものが手に入るのは素敵なことである。と同時に、店頭ではスタッフの方々とお話ししたり、ネットでは全く眼中になかったものとの出会いが待っていたり、という楽しみも存在するのである。音楽配信事業も普通のものとなりつつあり、ショップにとっては辛い時代が到来しているのであろうが、このコンピCDを聴くたびに、レコ屋は必ず残ってもらいたいものである、と心から願うのであった。

単なる、時代についていけない人の独り言みたいに思えるかもしれないけど、このブックレットにあるような人間同士のコミュニケーションがまた、音楽を聴くことを何倍も楽しいものにしてくれると思うのである。だから、そんな楽しみが消えてなくなってしまったりしないように願うばかりである。

とかまあ、色々考えたりもしたのだが、純粋にこのコンピCDは広く楽しい音楽満載なので絶対おススメである。