Night After Night

ラーメン屋で「ライス無料」というのはよく聞くが、今日車で通りかかった店は「アイス無料」と看板にあって、我が目を疑った。

ライスはランチタイムにはよく無料になっているし、仙台っ子ラーメンなどでは終日無料だったりする。しかして、アイスって果たして需要あんのかよ?と思われる向きも多いであろうが、吾輩にしてみれば至極納得、というかまさにラーメン屋の未来を見た、という、まるでBruce Springsteenを発見して「ロックンロールの未来を見た!」と絶賛したジョン・ランドーのような感慨を述べたいところである。

ラーメンを食べた後はアイスクリームが食べたくなるものなのである。ラーメンは第一熱いし、味は(少なくとも私が好んで食す種のラーメンは)濃い。つまりしょっぱめである。人間、何か極端なことがあるとその反動というものが必ずある。したがって上記のような特徴を持つラーメンを食した後には、冷たく、甘いものが食べたくなる、はず、である。であるからして、ラーメン屋でアイスが無料で気兼ねせずに食せる、というのは実に人間的な生活を約束するような画期的な試みではないだろうか。

と思ったが、まあラーメン+アイス、って絶対身体には後々悪い影響が響きそうである。気をつけないと。そしてそのような画期的なラーメン屋だ、と感動したにも関わらず私はそこで食していないのであった。つまりは、上のは完全に私が「アイス無料」という言葉から暴走してしまったのであって、もしラーメンの味がダメだったらば、多分呪詛の言葉を投げつける結果に終わるであろうことは火を見るよりも明らかである。

まあ、今度試してみたいものだ、と思いつつも一関〜気仙沼間の店なので何ともいつになることやら。しかし吾輩のようにアイスクリーム好き男子にはたまらない甘美な売り文句であることには間違いないのう、と感動した次第である。Ike Yardの「1980-82 Collected」を聴く。シングルもアルバムも1枚ずつしか出していないような彼らのコンピが出るとは、しかもGlenn Branca作品のリイシューで一部で話題沸騰のAcuteから出るとは、実に素晴らしい世の中である。Crepsculeからシングル、Factory USからアルバムをリリース、というのはもうそれだけで購買意欲をそそられるものであるが、なかなか発見しづらいアイテムだったのでこのコンピは画期的である。シーケンサーやシンセと生楽器の絡み、そこに思わせぶりな、というか刺身のつま的にヴォーカルが入る、というとああ、ニューウェーヴねえ、と片付けられてしまいそうで、まあ、実際そうなのかも知れないのであるが、この連中は振り切れていて埋もれてしまうのは勿体ないくらいである。とくに未発のスタジオレコーディングやライヴでは最早シーケンサーが暴走気味の音圧でボコボコ言っており、それに絡むパーカッションや鋭利なギター、というCabaret Volataireも下手すりゃDAFもSuicideも真っ青な音を奏でており、否が応でも興奮させられるはずである。とおこがましくも断定したくなるほど格好良すぎるのである。どうやら余りにも性急に活動しすぎてしまって解散してしまったようであるが、もうちょい気長にやってれば今頃は上記のグループと同じくらいの評価を得ていたかも知れないなあ、と思う一方、性急だったが故にここまでのテンションの音楽を残すことができたのかも知れないな、とも思う。燃えます。