Love Will Tear Us Apart

私は結構音楽を聴くのは好きだけれども、人の音楽の聴き方はまあ、別にどうでも良いと思うのだ。というか至極当たり前の話であるが。別に生き死にに関係ない話だし、何せ聴いている人間がそれぞれだから聴き方はそれぞれで構わないと思うのだ。

だから自分の好きな音楽が別に他の人が好きなものでなくても、別にそれはどうでも良いと思うのだ。聴いている人間がそれぞれなのだから。

とか思っている私であるが、人目につくところで音楽について、自分しかこういうの聴いてない、とかこういうのがもっと受け入れられる世の中にならなければ、とか表明しているのはなかなかに、別に本当にその人のこととか知らなくても、何か虫唾が走ったりする。

基本的に自分が楽しめれば良いわけで、他の人と話が合えば、それは至極ラッキーなこと、程度の話ではないのかなあ、とか思ったりもするのである。

なんてふと思ったから書いてみた今日である。Susanna And The Magical Orchestraの「Melody Mountain」を聴く。ノルウェーの男女2人組で、男の方は元Jaga Jazzistであったりする。思えばファーストも結構愛聴していたものだ。所謂エレクトロニカ、というかそういう類の音をバックに非常に清冽な女性ヴォーカルが乗っかって、Emilie Simonにも通じるような、そういう世界でかなり好きであった。叙情的すぎるくらいに叙情的であったし。そしてこのセカンドは、何と全曲カヴァーであるが、Leonard CohenにBob Dylan, Depeche Mode, Joy Division, Prince, Sandy Denny, Scott Walker他、という凄すぎる、私の嗜好から行けば完璧すぎるアーティストの曲ばかりで卒倒してしまった。ファーストでも「Jolene」のカヴァーなどで独自の解釈っぷりはビシバシと見せ付けていてくれたのだが、今作ではそこら辺大爆発である。原曲を変に解体しすぎることなく、それでもしっかりとSusanna And The Magical Orchestraの世界以外の何物でもない音になっているからこれまた衝撃である。全曲良いのだが、「Hallelujah」などカヴァーされまくりの楽曲なのに、こんなに新鮮な解釈は聴いたことないなあ、という出色の出来である。これからの季節に思えばぴったりの穏やかな、でも興奮させられまくりの傑作。