You Can Call Me Al

男はソレを我慢できない」という映画を見てきた。私の積極的な意志で、ではなくまあ、お付き合い的側面が大きかったのだが。信藤三雄監督作品である。

流石にカットインされる文字のフォント具合とか演出とかはコンテムポラリープロダクションだけあって、見慣れすぎて最早懐かしささえ感じさせる洗練具合で、全く違和感なく入ってきて、うんうん、とか思ってみていたのである。話の筋もごくごくシンプルで、最近明らかに馬鹿になりつつある自分には優しい映画であった。キャストも豪華であるし。

しかし、しかしだ。何かこれは私が疲れていたからかも知れないが、あまりにも無意味なカットインやら加工やら何やらが怒涛のようにあり過ぎて疲れてしまったのだった。眠いなあ、とか言って起きてその眠い目をこすりつつ朝10時半過ぎの回など見てしまったからなのかも知れないが。しかし、その要素は明らかにこの映画を特徴づけるものであるので、それを否定しまっては元も子もないように思える。なかなか難しい・・・。まあ、気軽に見れてくすっと笑えて、というか時に爆笑一歩手前まで行けて、ということで娯楽として非常に楽しかったことは楽しかったのである。印象的なのは清水ミチコの演技・歌の上手さであろうか。流石である。あとは中村達也の声の小ささとか。流石元スターリン、という意味のわからない感想を。しかし、最も衝撃だったのはスタディスト岸野雄一の出演だろうか。ヒゲの未亡人・・・。

あまり過剰に「オシャレ」とか期待せずに、また「映画とは?」とか考えずに軽い気持ちで見に行くのがベストであろう。あ、でも「オシャレ」と一部の方々には受け止められるであろう要素はビシバシあったように感じられるから、その期待には応える映画なのかも知れない。ただ、体調は整えて行った方がベターだと思われる。

英語的には間違いが結構あって、ちょっと落ち着かなかったけれども。Paul Simonの「Graceland」を聴く。グラミー賞をとったアルバムであると同時に、南アフリカのミュージシャン多数起用ということで当時の南アフリカバッシング(アパルトヘイトのせいですな)故に、「植民地主義だ」とかと批判もされたアルバムである。20年前か・・・。まあ、そこら辺の真意はわからないが、あくまでそういった要素はPaul Simonの音楽の一部としかなっておらず、流石であるなあ、と唸らせられる。その取り入れ方が植民地主義だ、とか批判されるのなら、それは見当違いだな、と20年後に意見を言ったところで何がどうなるわけでもない。このアルバムは、どの曲も凄くこっちにニコニコしながら近づいてくるような、人懐っこいメロディばかりでそこに若干アフリカン風のリズムが入ったり、カリプソ風味があったり、とまあ一言で言ってしまえば折衷な音楽であるが、その具合がしっかり練られているから凄くスムーズに聴けるし、またクオリティも高いのである。完璧に上質のポップミュージックである。全てを取り入れて、そして完璧に消化するこの男の胃袋は絶対もたれない、強靭なものであるに違いない。思えば最新作ではBrian Enoと一緒にやっていたりする。未聴ではあるが、結局はPaul Simonの音楽、になってしまっているんだろうなあ、ということは想像に難くない。天才ってのはやはりいるものだなあ、と今更ながら痛感させられる1枚。