Where The Wild Roses Grow

がーん。元Napalm DeathのJesse Pintadoが亡くなってしまった・・・。私も健康に気をつけなければなあ、と何故か思わせられる。

そう、30代に入ると意外に今までのライフスタイルを見直すことが多くなった。もう無茶できないんだなあ、と。もう20代ではないんだぞ、と。

しかし、場面場面に於いて人間は様々な年代の自分に縛られて生きているのではないか、と最近私は気づいた。別にトラウマ、ということだったり、幼少期の悲惨な経験がフラッシュバック、とかそういうことではない。何かの時に知らず知らずのうちに勝手に何歳かの時の自分に戻ってしまうのではないか、ということである。

私の場合日頃は無茶できないなあ、と思って慎ましやかに霞を食って水を飲んで生きているのだけれども、あれだ、飲酒の機会にちょっとお酒入るとすぐに20歳の自分になってしまうのである。つまり、20歳の時のような勢いで飲み続けてしまうのである。そうなってくるともう身体がついてこないわけである、悲しいことに。これはここ最近かなりの頻度でオーヴァードーズしてしまうことの裏づけになるのではないだろうか。

いくら気をつけよう、自制しよう、と日頃思っていても勝手に20歳モードに突入されちゃあそこらへん効果なしなわけである。まあ、別に20歳の頃には暴虐の限りを尽くしていた、ということではないから誤解しないでいただきたいのであるが、身体的にはもう20歳には流石に戻れないわけである。気持ちは永遠に15歳くらいなのであるけれども。多分残念ながら頭の中も15歳に毛が生えたようなものだろうと思うのだけれども。しかもみょうがばっかり食べていたから更に退化している可能性も否定できないのだけれども。

とはいえ飲みすぎには気をつけます。でももしそうなったら、何かこう加齢に抗っているのだなあ、と解釈していただければ幸いだ、と今自分で書き始めて猛烈に空しくなってきた。まだまだ20歳モードで突っ走るぜ、くらいのビッグマウスを叩きたい所存ではある。

まあ、現実問題オーヴァードーズには気をつけなければな。Nick Cave And The Bad Seedsの「Murder Ballads」を突如聴く。96年のアルバムであるが、コンセプチュアルなアルバム、ということで全曲カヴァーの「Kicking Against The Pricks」と対を張る異色のアルバムであろう。タイトル通り1曲を除いて全曲殺人小唄、で占められたアルバムである。15分近いナンバーもあるから、小唄、という表現は的確ではないのかも知れないが。ということでストーリーテラーとしてのNick Caveの才能が全面開花したアルバムでもある。PJ HarveyKylie Minogueなどデュエットゲストも参加し結構華やかなアルバムではある。しかしだな、やはりテーマは殺人であるからして歌詞は、もしネイティヴでストレートに言葉が耳に飛び込んできて瞬時に理解できるような立場にあったら結構凹むだろな、というものではある。でもそんな歌詞ではあるものの、ヴァラエティに富んでいてそれぞれシチュエーションが異なり、そこらへんも話の紡ぎ手としてのNickさんに脱帽、である。演奏は歌のバックに徹した感がこの作品では強いのだが、まだ在籍していたBlixa氏の咆哮や、最早完全に効果音になってしまっているスライドギターなどが楽しめる。そして上に1曲を除いて、と記したがそのラストの1曲はBob Dylanのカヴァー「死は終わり、ではない」というのがまたこう、暗く沈みがちなアルバムのトーンを最後にちょっと変える働きをしていて、そういうところも含めてよく練られてしっかり作られたアルバム、と思うのである。これ以降のNick Caveの作風が微妙に変化していくことを考えると、意外にターニングポイントになった重要なアルバムだったのかもな、という気がする。