Nothing Ever Changes

例えば、今自分が死んだらどうなんだろう、と考えることが度々ある。

これは別に自分が死んだら誰が悲しんでくれるだろうか、とかそういう自惚れたナルシシズム溢れた観点から考えているのではない。まあ、多分中3とか高1とかの多感な時期にMomusが「What Will Death Be Like?」とかFeltが「I Will Die With My Head In Flames」とか歌っているのを聴いて心酔してしまったからなのだろうか。いや、そういうことでもないか。

この間ラーメン屋でラーメンを食べているときも、今このカウンターの向こうのガスが爆発して自分がそれに巻き込まれて死んでしまったら、果たしてそれってどうなんだろう、という思いに囚われてラーメンの味どころの騒ぎではなかった。「ラーメン店爆発 男性1人死亡」とかそういう見出しになってしまって、しかも何か死んだ人に纏わるエピソードとして「tdさんはラーメンが好物で、週3回は必ず食べていた。そんな好物を食べている最中に・・・、と声を詰まらせる近所の女性(46)」とかなったら死んでも死に切れぬ。そんなラーメン大好き小池さんみたいな人、というイメージの死人、だったら浮かばれぬではないか。まあ、確かにラーメン好きだが・・・。

やはりアレか、PILの缶入り「Metal Box」が就寝中に頭に落下して死亡、とかの方が皆「嗚呼やっぱりなあ」と安心するのだろうか。意外に自分もそう願っているのだろうか。レコスケくんがRod StewartではなくてGeorge Harrisonの「All Things Must Pass」が頭に当たって死にたい、と願うように。しかし我が家にはZ'EVの鉄板レコードもあるから(表と裏が鉄板2枚でできていて、めちゃくちゃ重い。そして冬に買ったらめちゃくちゃ冷たかった)、意外に本当に「死に至るレコード」があるのが嫌と言えば嫌である。

まあ、当分予定はないので生きられるだけ生きてみるつもりではあるが、明日は明日の風が吹く、何が起きるか分からぬのがこの世の常であるからして気を引き締めて行きたいところである。

Brainiacの「Hissing Prigs In Static Couture」を聴く。もう10年前の作品か。聴きたくなったら我が家になくてめちゃくちゃ焦ったが、無事捕獲できたのだった。Touch And Goからの変態バンドのアルバムである。これ、もしここまでかなり変なハードコアバンドが市民権を得ている現在にリリースされていたら大変なことになっていたのではないだろうか。Steve Albiniも1曲手がけているが、それも関係ないくらいの重厚なリズム隊に異常にエッジィなギター、そしてメロディを歌っているかと思えば咆哮まみれ、になってしまうヴォーカル、などなど全力疾走でコースを外れていくような、そういう危険な素っ頓狂さを十二分に楽しめるアルバムである。大体こんなGang Of Fourが更に無調になってしまったようなめっちゃくちゃソリッドな曲のサビの後の方で、なんで「ソーラン節」のサンプリングが鳴り響くのか・・・。兎に角謎過ぎるが、その謎過ぎる部分が時に大爆発してこちらを攻撃してくるようになるからおっかない。大傑作だと思う。彼らはこの後Jim O'Roukeプロデュースのミニアルバムをリリースし、更に謎パワーを蓄えいよいよブレイクか、というところでヴォーカル&ギターが交通事故死、という何とも悲しい末路を辿ったバンドではあるが、この一作で永遠に記憶に残るバンドになったのがせめてもの救いだろうか。残りのメンバーはEnonとして活動中である。