Heartland

そういえば一月ほど前にスカパーが見れなくなった、という件を報告したように思う。

その後製造元に電話して相談するも、全く改善されず。そして購入したヨドバシカメラに修理でもお願いしようか、と相談に行けばほんの数時間前に電話したばかりの製造元の電話番号を渡され、その後製造元に電話するも全くつながらず、というたらい回しの極地のような堂々巡りにはめられてしまい、何かこの後には知ってはいけない謀略でもあるのか、と訝しく思わざるを得ない状況の日々だった。

そんな閉塞感に耐え切れずファックオフ、とベランダで煙草を吸いながらアンテナを適当にぐい、と動かしてみたら。

何とスカパーが映るようになった。あんなに微調整しながら動かしつついても全く映らず、というか受信できなかったのに。

世の中、思いのほか物事はシンプルなのかもしれない。The Theの「Infected」を聴く。86年リリースのThe The名義ではセカンド(今ではファーストのMatt Johnson名義のアルバムもThe The名義になっているから、通算3作目か)アルバムである。先行シングルが2枚共過激な歌詞故に問題になり(アメリカのリビア攻撃批判、イギリスはアメリカの51番目の州だ、などなど)何かおっかねえな、とか思いながら聴いたりしてものであるが、そのポップな音楽性にかなり衝撃を受けた記憶がある。とは言え、歌詞もあくまで個人的な見地からそういう内容になったのだろうな、と思わせられる地に足の着いた感じでBilly Bragg等とも共通する(少なくとも歌詞の面では)世界である。当時のインタヴューで「鉄の拳を絹の手袋で包む、ってのが好きだ」と語っていたのを突然思い出したりした。さて、と言うわけで20年前のアルバムである。結構当時のサウンドプロダクションだったよなあ、とか思いつつ久々に聴いてみたら確かにそういう匂いはあるものの、全く古臭さを感じさせないサウンドで正直驚愕した。ダイナミックなサウンド展開もやはり地に足の着いたものだったのだなあ、と深く納得。メロディもかなりポップでついつい口ずさみたくなるような、そういう人懐っこさが何とも心地よい。しかしライナーでピーター・バラカン氏も執拗に説いていらっしゃるように、彼なりの解釈でソウルフルに歌い上げるMatt Johnsonの骨っぽいヴォーカルが、こちらが単に聞き流すことを良しとしないような、そういうド迫力で思わず背筋も伸びる。タイトル曲のテンションの高さは一聴の価値ありだと思う。更に、Anna DominoやNeneh Cherry等、何気に豪華なゲスト陣もポイントであろう。ところで、彼の歌声を最後に聴いたのはもう6年くらい前のことなのであるが、新作は出ないのであろうか・・・。