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世の中、お取り寄せの嵐が猛威を奮っている。暴威、か。

私も結構前からお取り寄せにはご執心であり、amazonとかwarszawaとかから、ってそれはお取り寄せとは言わないのですね、はい。

まそれは置いておいて。雑誌とかテレビとか百貨店の催し物などを見ても「お取り寄せ」という言葉を目にしない日はない、と言っても過言ではないように感じられる。

私はどちらかというと現場主義なので、自分で赴いて入手できるものが基本的に愛おしいのである。ということでお取り寄せ食材、お取り寄せスウィーツなどに心奪われつつも、まあそこまでしなくても、とブレーキがかかっていたのである。

ところが。ところがである。同居人がテレビで見た、と興奮気味にとある食物の話をしていて、まあ、そこまで言うのなら、とネットで買ってみたものがある。そう、遂にtd家でお取り寄せのブレーキが外されてしまったのであった。その罪な食物の名前は「とろほっけ」。

飲み屋の定番、ほっけのとろ版である、と解説したところで何が何だかわからないかも知れないが、そう、そういうことなのである。果たしてどういう原理でもってほっけのとろヴァージョンが出来上がるのか、結構ナゾではあるが、宮城県内の「ほっけ専門」の会社が通販を行っているのである。ほっけ専門・・・。ちなみにそこのHPのアドレスは「とろほっけドットコム」という衝撃的なものであることも追記しておこう。

さて、件のとろほっけ、届いたので早速焼いて、ほっけディナーとしゃれ込んでみたのだった。あまりしゃれているような印象をなかなか与えてはくれないのだけれども。ちなみに比較的リーズナブルであって、なかなかのコストパフォーマンスだとは思う。

これ、すげぇ。まさにほっけのとろ版、としか言えない。どちらかと言うと「ほっけデラックス」という方が私の単細胞な頭にはリアルに響くように思える。まず焼いた香りがこれってムニエルですか、というような感じ。そして身は脂っこくは決してないがほっくりとしておりジューシーである。仰天した。こ、これがお取り寄せの真髄か、と。恐るべしとろほっけドットコム!

ということでブレーキの外れたお取り寄せムーヴメント、雪山を雪玉が転がり落ちるようにならないことを願うばかりであるが、早速ネットで「お取り寄せ」とかで検索し始める私は馬鹿だ。

Mark KnopflerとEmmylou Harrisの「All The Roadrunning」を聴く。Dire StraitsのMark Knopflerと我らがEmmylouの共演盤である。思えばこのタッグはHank Williamsトリビュート「Timeless」でもあったし、それほど目新しくもないのだが、この音楽は素晴らしすぎる。まあカントリーなんだべな、とかいうのが世界中の予想であろうが、それに近い音は鳴っている。しかしそれだけに止まらない、大らかな世界が繰り広げられており大いに感動させられる。大体にしていまやEmmylou Harrisはカントリーと呼ばれているジャンルの音楽にそのまんま当てはまるような作品を全く作っていないわけで、そんな彼女がMark Knopflerとやっているのだから、枠を超える、もしくは枠を広げる結果になるのは、まあ当然と言えば当然なのかも知れない。しかしこの1曲たりとて退屈することのないこみ上げるようなメロディ、そして大らかなサウンドスケープにはほとほと参る。降参である。私はどうにもこういうのに弱いようである。ご存知かとは思うが。2人の声も良い具合の枯れ具合で良いマッチングを聴かせてくれるし、その後ろでスティールギターなんか鳴られてしまったら黙って聴け、ということになるのだった。しかし写真を見ると、Mark、老けたなあ・・・。長門裕之みたいだ・・・。