Wedding Hotel


今日2つ目。

下からの続きである。そのようにCD-brainの夢が微妙に費えてしまい、どことなく寂しい気持ちでまたもや月山を越え、寒河江へと向かう。その途中できちんと同居人へのお土産を買う辺りが流石やね、自分、と思ったが多分こんなことは普通なんだろうな。しかも「お土産買ったから」ということが免罪符のようになっているような気がしてくるのは何故だ。そんなに後ろめたいのか自分、と思わず自分に問いかけたくなったりもする。

とか言っているうちに寒河江ブックオフに到着。その後は天童〜山形市内4軒のブックオフハードオフ1軒、という流れなのであまり特筆すべきことはない。帰りはチューハイを飲む某社長がどんどん元気になっていくのを横で感じながらひた走りで仙台に帰ってきたのだった。

ただ、「隣の芝生は青い」ということではないが、まだ山形、私個人の嗜好からすると掘るものが沢山あるなあ、というのが感想である。泣く泣く置いてきたものがまだある。

しかし最後の方、つまり山形市内のブックオフになってくるともう棚を見るスピードがどんどん速くなってきているのに気づいた。他の客を追い抜き追い抜きして、それでも見落とす、ということはなくJohnny Thunders&Patti PalladinのアルバムだのMichelle Shockedだのを抜く、と言う状態になっているのに自分でも驚いた。これまた、何の得にもなりえない技が身についてしまったものである。

結論:当分ブックオフは行かなくても良いな、というくらいCD棚を見倒したのでリハビリしたいと思います。空を見たり、森を見たりして。

余談であるが、1軒だけ寄ったハードオフにいた3人組の少年達が可愛かった。年のころ16,7だろうか。ジャンクのレコードを掘っていたのだが2人の会話:「あ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だ。俺、この映画好きだからサントラ買うがな」「良いんでね良いんでね」

少年よ、それはレーザーディスクだ。

またもや2人の会話:「あ、俺、これ知ってる。やべ。パンクバンドだ。スージースーアンドザバンシーズって、名前は知ってるわ。」「マジ、やべの?」「うん、知ってるスージースーアンドザバンシーズ、ってパンクバンドだ」「買えばいっちゃ」「スージースーアンドザバンシーズってパンクなんだっちゃ。やべ」

少年よ、間違いではない。全く間違いではない。しかし正式なバンド名はスージー・アンド・ザ・バンシーズ、である。そしてパンクではある。確かに姿勢はパンクではある。だけどもそのアルバムは「Hyenna」だ。パンクって期待して聴くと大変なことになるぞ。

と言いたかったけども、言わずに帰ってきたのが心残りと言えば心残りか。しかしスージースーアンドザバンシーズ、って違和感ありまくりだなあ。「スー」を抜かしたバンド名にしたのは正解だったかも知れないな、と今更ながら彼女たちのセンスの良さに感動したりした。

と平和に終わりなのであるが、Nikki Sudden氏死去の報を聞いてがくん、となってしまったのでNikki Sudden & Rowland S Howardの「Kiss You Kidnapped Charabanc」を聴く。うう。弟のEpic Soundtracks氏に続き兄までもが早すぎる死である。これは87年にクリエイションレーベルからリリースされたアルバムである。言わずと知れた元The Birthday PartyのRowland氏とのアルバムである。これがまたのったりとしたリズムセクションにブルージーに響くアクースティックギター、カオティックなエレキギター、という渋い、実に渋い1枚で密かに愛聴盤である。ジャケ裏にパンチ穴開いているが。そう、この2人がヴォーカルもとっているのだが、ヘタウマ、ではなく、ヘタ、である。それは全く否定できないし、する気もない。しかし彼らは自分の声が、歌がどういう音楽で映えるのかをよく知っている。結果、このアルバムでのヴォーカルはダルなバッキングとも相まって最高の効果を齎しているのである。それでもちょっとロマンティックなメロディが顔を出したりして、結構人懐っこいアルバムである、ように思う。何か陳腐なたとえであるが不良ぶっているけど根は優しくロマンティスト、みたいな音楽である。しかし自分が持ってるレコードの作り手が年末あたりからどんどん亡くなっていて、音楽を聴く、というのはなかなか寂しさと直結してしまうのかも知れないなあ、と思うと切ないのであった。