The Devil ( Okay )

まあ今日軽く2つ目である。

私はまあ音楽、ポピュラーミュージックが好きであるので良く聴いている。ポピュラー、というからにはそういった音楽をブログやら何やらで取り上げている方々が結構多いわけである。

で、最近気になるのだけれども「みんな○○を聴いた方が良い」とか「他の人はなんで△△聴いてないんだろう」とかあたかも己だけがその音楽を聴いていて、他の人よりも上だぜ、的な気味の悪い選民意識が結構罷り通っているのだなあ、と感じたりもする。

これは別に批判でも何でもなく、環境とか入ってくる情報とかによってこういうことを書いてしまっているのだろうけれども、何ともそこから優越感、というかそういうものが漂ってくるのがちょっとアレだなあ、と。

それは単に「その音楽を知ってはいる」けれども、「その音楽を聴いている人がいるということを単に知らない、知ろうとしない。つまり想像力が欠如している」ということを自ら暴露してしまっているようなものであるので、読んでいてちょっと、あー、もうちょっと控えめにした方が・・・、と別に他人事なのに心配してしまったりもするのであった。

若い人ならまあ良い。若いうちは誰でもそういう思いがあって、自分を高めていく必要があるだろう。仮想敵でも何でも作り上げて、世の中を敵に回すことが一度ならずともあって当然かと思う。でもちょっと年齢行った人はそろそろ、自分の田舎者っぷりをそんなに披露しなくても・・・、という感じである。

まあ、身近なところでいろいろ音楽のことで考えたのだけれども。他にも多分俳優や女優に関してだったり、本に関してだったり、哲学に関してだったり、色々あると思う。飽くまで「自分はここら辺までは知っているけれども常に先達がいるものだ」という認識で研究していくのがあるべき姿勢だと思うのだけれども。

なんかね、そういったブログやら何やらを書いている人のことを実際には知らないのだけれども、それだけでうわー、実際に会いたくねえなあ、とかなってしまうのは私としては凄く残念なことなので。

まあ相変わらず自分のことは棚に上げている私であるが、Marc Almondの「Jacques」を突発的に聴きたくなって密かにずっと聴いている。全曲Jacques Brelのカヴァーで占められた89年のアルバムである。89年、というのはMarcさんにとってはどんな年だったかというと年頭にGene Pitneyとのデュエットシングルが全英チャートのナンバー1を約1ヶ月に渡って独走し、その後も違う楽曲のリミックスを何種類ものヴィニール盤でリリース、とノリノリの年だったはずだ。そんな年の暮れにひっそりとインディからこんなアルバムを出してしまう、とは当時中学生だった私ですら衝撃を受けたものだ。86年から89年までこつこつと録音された曲を集めたものだが、当然ながら統一感ありまくりの、Marc先生の美声は冴え渡り、と悶絶必至のアルバムである。兎に角彼のヴォーカルが素晴らしい。1人何役なのや、と突っ込みを入れたくなるほど巧みに声を使い分け、朗々と歌い上げるのにはまあ当然ながら好き嫌いは分かれるところであろう。Scott WalkerもDavid BowieMomusもJacques Brelの曲は取り上げているが、ここまで丸々歌ってしまったのは、しかもPaul Buck氏によるオリジナルの訳も取り入れながらやってしまったくらいの情熱を感じられるのは、やはりMarcさんならでは、と言えるであろう。表の代表作ではないが、完全に彼の裏の代表作と言いたいところである。ちなみに91年にも彼はJacques Brelの曲をイケイケのユーロのりにカヴァーしていて、本当に好きなんだなあ、と微笑ましくなったりもした。