I'll Be Your Baby Tonight

車に乗っているとどうしても他の車に目が行くのである。それは別に「隣の芝生は青い」ということではなく、人間ウォッチングならぬ車ウォッチングをしている、と言っても良い。

以前には三島由紀夫肖像画の描かれたトラックがあってそれはそれはたまげたが、そういったエアブラシ系では、いまだに根強く矢沢永吉がワゴン車に描かれている場合が多いようである。あと浜崎あゆみとか。以前には工藤静香なんてのもあったが、最近見ない。で、素朴な疑問なのだが、ああいう風にエアブラシで描いた車の絵柄が気に入らない、と言って直す時にはどうやるのだろうか、できるのだろうか、莫大な費用がかかるものなのだろうか。そういう車を見る度に考えてしまうのであった。あとやっぱりキティちゃんとかプーさんとかも多いように思う。

こういったエアブラシ系のネクストジェネレーションは倖田來未だと思う。間違いない。そろそろ倖田來未がエアブラシで描かれたワゴン車が完成を待っているはずである。

とまあ、エアブラシ系もかなり趣き深いのであるが、突然リアウィンドウにカッティングシートで芸能人の名前を入れてあるのも結構破壊力あると思う。今朝は「JUDY AND MARY」とリアウィンドウにカッティングシートで勇ましく入っている車の後ろについたのだが、如何せん文字が室内を向いており、車の外から見ると鏡文字のようになっていて、まるで何と書いてあるのかわからない、クイズのような状態であった。周りなんか関係なく、車の中でJAMを感じられれば良いぜ、という意気込みが感じられ、多分オーナーは内向的な人なのだろう、という結論に至った。朝からこんなことばっかり考えているのである、私という人間は。

まあ上記の車はなんか結構いじってまっせ、という感じがビンビンしてくるスカイラインだったのだが、この間見たのはもっと凄かった。今までで最高にヴァイブを感じた。車は普通のマーチである。しかも新しい型なので丸っこくて可愛い。運転している女性は黒いサングラスに黒いノースリーヴでなかなかにクールな感じ。ほほう、車とのバランスが面白いねえ、と見送っているとリアウィンドウには。

BUCK-TICK

と何の衒いもない普通のフォントで入っているのであった。これは外向きだった。衝撃で青信号に変わっても発進するのに出遅れてしまった。んーBUCK-TICK現象はいまだに継続中、である。

Geoff&Maria Muldaurの「Pottery Pie」を聴く。67年作である。当時夫婦だったお二方によるアルバムであるが、不思議な感じがするのはデュエット曲、のようなものが見当たらないせいか。こういった夫婦によるアルバムだとLeon RussellのアルバムとかTimbuk 3とか多かれ少なかれデュエット曲がメインになるような感覚を持っていたのだが、このアルバムではGeoffの曲、Mariaの曲、という風に分かれているのだった。音的にはカントリー色が濃く、且つ若干のスワンプ風味、というかなりアーシーな音楽である。デュエットはないにしても、凄く楽しげに聴こえる、穏やかなアルバムである。スティールギターを始め、各ギター類の入り方が大いに小技が効いていておっと思わせられる。2人のヴォーカルも各々味があり、とくにGeoffのヴォーカルはなんかどことなくユーモラスで楽しい。カヴァー曲も数曲入っているが「Brazil」のカヴァーはブラジル風味とスワンプ風味が何気なく融合されていて面白い。こういうのが聴きたくなる日もあるのだった。