Down Is Up

スーパーマーケットのレジの長い列に並んでいると、色々考えることがある。

例えば前に並んでいる男性は、サクサクロースかつ弁当と鯖とハムカツとハンバーガー用のパンとバターロール、その他諸々を買っている。果たしてロースカツ弁当は今日の晩御飯なのだろうか、そうなるとこの鯖は・・・?鯖とロースカツはちょっとなあ、とかパンはなぜあんなに大量に買い込んでいるのだろうか・・・?とか。

また後ろのカップルは自分たちの飼い犬について批判している。曰く「あの犬有り得ない」「なんで?」「ドッグフード食べないじゃん」「あーそれしょうがないよ、だって自分のことを犬だと思ってないもん」「あーそっか」。

いや、「あーそっか」でまとめられる問題じゃないように思うのだが。まあ、飼い犬なんだからもっと愛情を注いでやっても良いんじゃないか、と思うが、今では自分の子供に愛情を注げない人間だって沢山いるわけだから、まあ、さもありなん、という感じか。

とぼんやり考えていたら私の番だ。ケッパー1瓶、238円。こんな長蛇の列にこれ1個を買うためだけに並ばされていたか、と思うと何か空しい気もするが、多分この列に並んだ他の人たちも「なんでコイツこの1瓶しか持ってないんだ?コイツがいなければもっと早く進むのに」とか思っているかもしれない、と思うといたたまれない気持ちになって、お会計もしないで逃げ出したい気持ちになった。

それは万引きである。

というか、何ですかね、私こんなこと思いながらレジに並んだりしているんですけど、ぼんやりしすぎですかね。何か1人でいるとついつい色々なことを考えてしまってぼんやりしてしまうのだ。そんな思春期の子じゃないんだから、と思うがもしかしたら思春期なのかも知れない。

まとまらないのはぼんやり、だからか。戌年なのでMoondogの「The Viking Of Sixth Avenue」を聴く。Honest Jonsは面白いレーベルだ。こんなコンピまで。これは99年に亡くなった氏の(奥様は日本人)キャリアをザーッと総括するコンピである。これがまた何と形容したら良いかわからない音楽で大層衝撃を受ける。パーカッション主体の音楽なのであるが、ビートが大層けったいな奇妙なもので(ネイティヴ・アメリカンのビートに影響受けてる、とか何とか)しかもチャカポコ言ってるので、結構身構えていた私もほんわか聴けるのであった。そう、AM放送の午前中の番組のタイトルバック、みたいな感じののどかさを感じたりする。しかしその一方ディジェリドゥ(?)がブロウするようなナチュラルドローン音楽まであって、且つホーンをフィーチャーしたスウィング的小品もあって、且つマドリガルのような曲もあって、要は何が何やらわからない。同じビートが続いているから1曲かと思ったら次の曲になっていたり、と摩訶不思議な何かに絡め取られる思いである。でも、それは決して居心地の悪い感じではなく、もっと聴きたいな、どれリピート、という感じの楽しみへと転じる類のものである。あー、そうか、宇宙なんだな。と結局わからんけど面白い、という駄目駄目な結論に・・・。