Like A Rolling Stone

今日間髪入れずに3つ目。ネタと時間が幸福な結婚をする日もある。

シンクロニシティ、という言葉がある。ユング・・・、だったか・・・、そいつが言ってたような・・・。アレだ、思い浮かべたことと現実が同調する、とかそういう感じのことだったような・・・。

と非常に心許ないスタートであるが、たまに日常生活でこの言葉を思い出すことがある。たとえば昼間にお好み焼きに思いを馳せたら晩御飯がお好み焼きだった、とか、あ、あの人は元気かな、とふと思い出したらその直後にその人からメールが来た、とか。

まあ、偶然といえば偶然、なのである。そう、一言で片付けるとすれば偶然、なのである。しかしそうも簡単に片付けられないような、そんな気がするときもあるものである。

Bob Dylan「Highway 61 Revisited」を過日HMVで手に取り、どれ買う前に2階フロアでも見るか、そういやこのアルバムを買え買えうるさかった福島在住のDylan(知る人ぞ知る私の高校の同級生。このNag3見ているはずなのであまり書きたくないが書かずにはいられない)は元気かのう、と思いながら2階フロアに行ったら当のご本人に会ったのでたまげた。まあ、5日ぶりくらいに会ったのだけれども腰が抜けた。この場合「ご本人」というのは福島の彼のことであって、Bobさん本人ではない。まあ、似たようなものだが。

このアルバムは思えば昔テープで聴いていたものだが、ここ最近のDylan熱の高まり(高まらせられたりしたものだが)によって自ら所有するに至ったわけである。何と言うか、別に奇抜なことをやっているわけでもないし、単なる歌、演奏、なわけだがどれも全てが、何か異次元のもののような気がする。がらっぱちのようなDylanの歌い方に呼応するかのような豪快なバッキングも含めてまるで嵐のようなアルバムなわけであるが、その嵐は何か大きすぎる。そしてその嵐が去った後にラストナンバー「Desolation Row」が不気味な穏やかな甘さをもって約10分続く、という「いったい何だったんだ、あれは・・・」的なアルバムである。ざっくり、とした手触りのアルバムだが、実はアレンジとか結構練りこまれているのではないか、と思わせる瞬間もあり、またありゃこれは意外にアバウトな感じでアレンジされているなあ、とか思わせられたり、と不思議な表情が非常に魅力的である。そして全体を貫く寓話的な歌詞や、どこか厳しい、ピンと張り詰めた感じなどは私の好きな「Bringing It All Back Home」とはまた異なる点であり、じゃあ他のアルバムはどうなってるんだろう、とまた深みにはまりそうな危険な予感。