11.11

ラーメン大好き、になってしまった2005年ではあったが、暮れも押し迫ったこの時期に新しく美味しいラーメン屋を発見できるとは、人生まだまだ捨てたものではないなあ、と思わせられるのであった。

職場の近くにあって、看板だけは以前から目にしていた店に初めて入ってみたのであった。メニューは5,6種類しかなく、一番の売りは「味噌タンメン」であることが一目瞭然なメニューの書き方なので、迷わずそれをオーダーしてみた。

こんな結構辺鄙な場所にある、というのに満員に近い状態で左程広くない店内は一杯である。しかし皆一様にすり鉢状のどんぶりに入ったラーメンを食べているのが可笑しい。しかして何故すり鉢ばかりなのか。

それは目の前に結構待ってから味噌タンメンが運ばれてきた瞬間に理解した。つまり皆味噌タンメンから辛し味噌タンメンか特製味噌タンメンか特製辛し味噌タンメンを食べているのであった。1人だけ醤油味を食べている客がいたが、その客のみ通常のどんぶりで、他の客は(私も含めて)すり鉢で食べているのであった。

まず大量の野菜とぶっとい平麺に目を奪われるが、スープの味もしっかりと、甘み強めで仕上がっており、とても美味しい。またそのスープもこってり、というほどではないにしても結構濃く、平麺とよく絡むのでだるくならない。うおー美味しいな。

という勢いで食べてしまったが、問題のすり鉢は底で箸が引っかかってしまい、底の方に残ったもやしやらひき肉やらを食べるのは結構難儀する。ということでスープもほぼ飲み干さねば全てを食べることは難しく、気づけば文字通り完食、という状態で店を後にしたのであった。

ところで値段が700円オーヴァー、ということで私の感覚からすると結構高級であるが、山○火とかとは異なり、しっかりとヴォリュームがある、ということに食べ終えて店を後にしてから気づかされる。そう、値段に見合った量ががっつりと野菜とともに味噌タンメンにはぶち込まれているのであった。また、平麺もヴォリュームがあるので、例えば12時半に食べたとしても夜9時くらいまで、私の貪婪な胃袋でさえ何ら食物を欲しなかったほどである。そしてそれは決して胃がもたれた故に食欲がなかった、ということではないのは感動的である。

たかがラーメンごときについて何をぐだぐだと書いてやがる、と思われる向きもあるかとは思うが、日常生活に於ける小さな幸せを探して行かずに何が人生か、と敢えて反論したいところである。

とは言え、まあこんな感じで2005年も終わり行くのである。Rufus Wainwrightの「Want」を聴く。「Want One」と「Want Two」をカップリング+ボートラ2曲、というお得な2枚組である。実は彼のことは気になって気になって仕方なかったのだが、Subtleの在仙メンバーに薦められたり、Antonyのアルバムに参加していたり、とかそういう後押しがあって初めて聴いたのであった。いやーもっと早く聴いていれば、といういつものパターンなのだがここまで待ったからこそこのお得な仕様に出会えたのだから、良いタイミングと言えば良いタイミングである。クラシカルな要素が結構随所に見られ、というか全体的にストリングスは大フィーチャーされているし、彼のヴォーカルも朗々と歌い上げるところがあるので、結構壮大な印象を残す作品である。ラヴェルの「ボレロ」の引用まで出てくるし。しかし何よりも曲の美しさに驚く。ここ最近ここまで練られたメロディの楽曲ばかりぎっしりと詰まったアルバムって聴いてなかったかもなあ、と思わずしみじみとするくらいである。歌詞もユーモアがあって申し分ないし、結構フォークロック的な側面も良く出ている「One」と最早オペラに近いくらいの美声大会(Antonyとか妹のMarthaも参加)状態も感動的な「Two」どちらを取っても文句なし。ボートラもLeonard Cohenの「Chelsea Hotel No.2」とかで悶死。今更ながら今年出会えて良かった、と心の底から思えるアルバム。何かMarc Almondを初めて聴いたときに近い感動が・・・。そういやゲイらしいし・・・。というように私にとっては嫌いになる要素がどこにもないのであった。