Blue Christmas

ここ最近は「クリスマス=キリストが生まれた日」という定説を知らない子供達が増えているらしい。

またまたご冗談を、と私でさえ思うのだが、実際ドイツではかなりの数の子供がクリスマスは「おばあちゃんに会える日」とか「プレゼントをもらえる日」とか「ご馳走を食べる日」とかという認識に止まっているらしい。

事実、この間私が職場で話した中学生も知らなかった。「何か盛り上がる日」だそうだ、クリスマス、というものは。

別にこれを嗚呼嘆かわしい!とかいう風にまとめたりしたら面白いのだが、別にそうも思わないし、実に当然のことなのかなあ、と思うわけである。

別にテレビのニュースで教えてくれるわけではないし、学校で先生が(場合によるだろうが)教えてくれるわけでもない。目に入る、耳に入る情報としては「クリスマスを前にイルミネーションが」とか「クリスマスセール」とか「クリスマスまでには彼女をゲット!直アド交換・・・」とかそういう世界なわけであるから、「クリスマスが何たるものか」を知らずともクリスマスを分かった気になってしまうわけである。

そう「クリスマスにまつわるエトセトラ」があまりに肥大化してしまったために、情報が増えたような気はするものの、逆に何かが欠けてしまったのであろう。これは別にクリスマスに限らずとも、結構色々な物事に共通して言えることなのかも知れないが。

受容の変化の具体例の1つ、ということなのだろうか。別にそれは時代とともに変容していくものであろうから当然のこととは思うが、この流れが加速していく一方だったらちょっと将来的には何かを見直さなければならないことになるのかも知れないし、もしかしたら大変なことが起きるのかも知れないなあ、とぼんやり思ったりもしたのであった。

折角なのでLowの「Christmas」を聴く。クリスマスソング(カヴァーもオリジナルも含む)を集めたミニアルバムである。何でも今年にまた再発されたようである。これは今は亡きWulitzer Jukeboxからリリースされた7インチも収録されていることからも分かるとおり、ある意味コンピなのであるが、全体のトーンは統一されていて流石、と思わせられる。勿論普段の彼らの音楽性には何ら変化はないが、いつにも増して男女ヴォーカルのハーモニーは絶妙で、且つしっとりと落ち着いた演奏には大いに滋味がある。他のLow作品と比較したとしても一番優しげな表情の作品であることに間違いない。何かこのシーズンだけに聴くのはちょっともったいないかも、と思わせる充実の作品。