Let's Get Hurt

しかし11月もこの時期になってくるともう気分は年末である。

年末は何か全ての帳尻を必死に合わせようと皆が忙しく動いているような気がして、どうにも落ち着く。逆に年始はこれからの365日のことを考えると気が遠くなってしまい、しかも皆どうにものんびり構えているようで、どうにも落ち着かないのである。

とかいうようなことを毎年毎年書いているような気もするが、実に1年過ぎるのは早い。去年の年末に雪かきをしたりしたことがつい昨日のことだったように思えるから不思議である。

年をとるにつれて、ある時から後のこと、というのはつい昨日のようなことのように思える。私にしてみれば、それはたぶん大体94年くらいから後のことなのではないか、とぼんやり思う。

別にその94年に何があったか、と問われれば別に何があったということもなく。ただ、何故か感覚的に、それよりも前だと「あー懐かしいなあ」という状態になり、94年以降だと「え、それってついこの前じゃん!?」ということになるのである。

人の感覚、というものは不思議なものである。引っ越してきたのもつい昨日のようなことだし、レコード棚を構築したのも昨日、CDツインタワーを構築したのも昨日、車で追突したのも昨日、台風直後に佐世保から福岡までレンタカーで疾走したのも昨日、なのである。

どんだけ「昨日」が長いのか、と思いながらギターウルフの「狼惑星」を聴く。97年(昨日)リリースのメジャーデビュー盤である。私はこれが一番好きだなあ、と思う。メジャー一発目、ということで気合の入ったやかましさ、音質の悪さ、であって感動以外の何物でもない。歌詞カードを見ても、律儀に歌詞が書いてあって、その歌詞の凄さにも純粋に感動である。ベースウルフ氏が亡くなって、今では新メンバーで復活している彼らの活動ぶりを見ていると相変わらずで、それがまた素晴らしい。つまり彼らの場合、彼らが変わることはなく、それを受け止める側との関係によって作品が評価されえるのではないだろうか。たぶん私がこの作品が一番好き、というのも単に感覚的なものだと思うし。この、勢い一発ながら熱量の放出量がハンパじゃないようなアルバムを聴いていると、変に血がざわめくのを抑えられないのであった。ガレージ、というようなジャンルにはあまり明るくない私ではあるが、こういうのは無条件に好きなのである。