Outta The Bag

さて今ではnanoまで出てしまってipodはまだまだ盛り上がっているようである、と知ったような口をきいているが、この間は「nano」を「nana」だと間違えていたことを同志より指摘され、赤っ恥をかいた次第である。

実はとある方から誕生日プレゼントを考えておけ指令が(今更ながら)出たので、まあ嬉しい悩みながら、しかし予算が一万円程度、ということで色々考えた末候補を3つくらいに絞ってみたのである。実は私は物欲はないほうである。CDレコード欲が全てを凌駕してしまうほど強いだけなのである、ってそれは立派な物欲だ。

で、その3つの中に予算前後、ということでipod shuffleなぞ背伸びして入れてみたわけである。しかし、順位は三番目である。

私がこのipod shuffleにイマイチ踏み切れないのには理由がある。それは勝手に曲順も何もかもシャッフルされてしまうところである。実を言うと今までCDのシャッフル機能すら使ったことのない人間としてはかなり怖い。

しかしそういうことを気にする人は少ないようで、意外に街中でもshuffleを使っている方々が多く見受けられる。そうだよな、気にしていたらあんな爆発的なヒットになんかならないよな、と旧態依然とした人間の私は思うわけである。

ただ、そうなると今まで私を含めて、『ハイ・フィデリティ』の主人公も含めて、MD〜CDR編集マニアの我が親愛なる友人であるところの巡査も含めて、皆が頭を痛め、眠れない夜を過ごしてきた「曲順」という問題が全くもって意味のないものになってしまうのが心苦しいだけなのかもしれない。いや、そうなのだ。あんなに俺らが苦労してきた曲順が、たったあの薄っぺらくて白いちっちゃな機械によって勝手にガンガン変えられるなんてたまったもんじゃねえよ、という思いが心のどこかにあって、それが私にブレーキをかけているに違いない。

しかしこうなったら自分的に完璧に隙のない曲群のみを入れてipod shuffleにぶち込めば良いのか、と新たな闘志も沸いてきてもう完璧にわからない状態になってしまったからもうこの話はやめよう。しかも何曲くらい入るのか、イマイチ見当もつかないし。

John Caleの「Black Acetate」を聴く。レコードのことを意味するようなタイトルなのにCCCD、ってのが皮肉で面白い、ってことで購入。前作「Hobosapience」は私の中ではなかったことにしたいがっかりアルバム(12インチシングルに入っていたZongaminのリミックスは良かった)だったわけだが、遂にCale御大がやってくれた!と大興奮のアルバムである。前作で大ネックになっていた打ち込みが減り、割かしストレートにギターベースドラム(加工はしてあるが)による演奏が大部分を占める。打ち込みはあるにはあるが、それも嫌味にならぬ程度に使ってあり、あくまで「うたのバッキング」として存在していて気にならない。Cale御大のヴォーカルも力強く、バックのギラリとした感触も含めてIsland時代のグラム風味の現代版、みたいな印象もあって涙させられること必至である。また曲が良いんだなあ。見直しました。Black Acetate