I Love You More Each Day

なんだか最近お疲れだなー、と自覚してしまうくらい疲労している私である。

まあ、それは仕事のせいだろう、と片付けてしまうのは簡単であるが、実はそうではない、と自分では知っている。多分に深夜まで及ぶ深酒と、多分に衝動的に読むことを止められない『阿部定伝説』阿部定伝説のせいであることは疑いようがないからである。さすがに他人に話せる理由ではないが、ここでこっそりと告白したいものである。

深酒はまあ、昨日は結局ビール2リットル、そして今日も我が家の第二の居間である焼き鳥屋「大吉」で強烈に飲酒、ということで一向にストップする気配がないが、まあ気をつけたら良いんじゃないの、と他人事っぽく。そして『阿部定伝説』であるが、何よりも予審調書が面白い。つまりは刑務所内で阿部本人と担当者のやり取りが淡々と記録されているだけなのであるが、阿部本人の発言が淀みなく、そして口述される彼女の生い立ち、生き様がまるでドラマを見ているかの如くに面白く、巻末に収録されている阿部を下敷きにしたフィクション作品よりも、そしてもしかしたら今の世に溢れる所謂文学作品よりも、びんびんに文学作品のような、そういう異常なテンションに満ちていて読むのを止めることができず、そして2回、3回と読んでしまうのだから大変なことになってしまうのである。

とはいえ、健康あっての楽しみであるので、まずは気をつけて生きたいものである、と缶ビールの蓋を開けながら書いている私は何者なのだ、ということでCurt Boetcherの「There's An Innocent Face」を聴く。MilleniumやSagitariusで有名な彼氏のソロアルバムである。某タワーレコードの猛烈なクリアランスセールのお陰で500円で購入して聴いている。上記2バンド(バンド・・・?)は愛聴している私であるが、このアルバムもそういった感じだべー、と聴いてビックリたまげて腰が抜けそうになった。カントリー風味をまぶした、ハーモニーの美しい、それでいて骨太な音楽が奏でられていたからである。ソフトロック、とか呼ばれる音楽では上記2アーティストくらいしか興味のない私であるが、シンプルでいながら凝っていて、きちんと練りこまれて作られているのにざっくりと聴こえるような、そういう音が奏でられているこのアルバムには、全く違う種類の興奮を覚えた次第である。何かシンプルなフォークロックに聴こえるのに実は物凄く凝ったアレンジやら変拍子やらが織り込まれていて、しかもさりげなく強烈なストリングスが乱入してきたり、ワクワクさせられる作品としてここ最近聴いた中ではダントツである。しかも他人曲が多いのだが、そのどれもが泣けるメロディを配した名曲ばかりで舌を巻く。天才というのはいつの時代にもいるものなのだなあ、としみじみと感じ入る大傑作なのであった。そして今までこれを聴いていなかった自分を強烈に恥じるのであった。