Ring Of Fire

3月3日(金)にカフェ・サニードロップスでひな祭りDJをします。詳細はまた後日。

3月25日(土)にL'enferで「永久音楽激情Vol. 3」開催決定!詳細はまた後日。

昨日の夜は映画を見に、とあるシネコンへと行ってきたのであった。大体にして私が大きな映画館に行くことというのはかなり珍しいことである。ましてや、今回見た映画みたいに3つのシネコン+小さな映画館、という大展開の映画ってもしかしたら「E.T.」以来の大展開映画を見たことになるのかも知れない。っていつの話や、というくらい昔の話であるが。

ウォーク・ザ・ライン」というJohnny Cashの自伝やらなにやらをベースにした映画を見てきたのであった。大きなシネコンと言えども見ていたのは私を含めて5人であった。前にシネコンで見たゴダールの「ウィークエンド」が私1人だけだったことを考えるとこれはなかなかである。

映画はまあ、Johnny Cashの生い立ち〜デビュー〜栄光〜転落〜再生、そしてそこに絡まる結婚〜離婚〜再婚のロマンス、という世界であってとくに目新しいことはない。しかし私は純粋にこの映画(まあ事実に基づいているのだけれども)の結構ドラマティックなロマンス的側面が非常に新鮮で面白く感じられたのであった。

我が友人(ここに於ける登場回数はかなり多いが、まさか福島在住だ、とか「歩く廃墟の街」とか「歩く戦争の親玉」とか「歩くブルーにこんがらがって」の異名をほしいままにしている、とか高校の同級生だ、とかなんて口が裂けても言えない)は「Cashの特異さを描ききれていないように思う」という感想を私に寄せてきていたのだが、あんなに殺しだ何だ、の歌詞がバンバン出てきて監獄でライヴで大暴れ、そんでもって黒い服ばっか、みたいな感じだったら十分に特異だとは思うのだが。表層的な部分に於いても十分特異であって、そこはまあ描かれていたのではないか、と。逆に私は普通の人間としてのJohnny Cashってこういう感じだったのかな、ということが感じられて、そこらへんも楽しめたのかも知れない。何せ我々は直接に彼のことを知っているわけではなく、最早伝説しか知らない、と言っても過言ではないわけであるし。

しかしこの映画の一番のポイントは全く吹き替えなしで俳優女優がやっているステージの場面であろう。こんなにこいつら歌上手いのか!と舌を巻くほど素晴らしい。とくにJune Carter役の女優(名前くらい覚えろよなあ自分)の歌は特筆に価すると思ったのだった。

まあ、何はともあれふんだんに盛り込まれているステージの場面で興奮してしまって、結果としては何か良い映画だったんじゃないかなあ、とか思うのであった。かー、単なる感想だな。

ってことでJohnny Cashの「At San Quantin」を聴く。監獄ライヴの第2弾、1969年の録音である。余談であるが昨日だかの新聞に、何でも死刑囚に麻酔を執行直前に打つ役目の医師がそれを拒否して、結局刑の執行が無期延期になった、という記事があったが、その舞台がこのSan Quantin刑務所だったのであった。何と(自分内で)タイムリーな。さて、「Folsom Prison」盤が実質的なカムバック作で初の監獄ライヴだったのに対して、その後どうやら色々監獄を周った後のこのライヴ、となるわけである。だいぶこなれた印象がある。バックもCarter Familyやらのバックコーラス陣も加わり、かなり分厚い印象になっている。そして何よりCash氏がMCで喋りまくりで面白い。「TVとかの放送もあるからああしろこうしろうるさいけど、関係ないぜ!俺はここにいるぜ!俺はJohnny Cashだ!(大歓声)」みたいなMCとか、単純な私としてはいやでも盛り上がるのであった。それくらいでっかいことを言い放っても納得の歌声はここでも健在で流石、の一言である。そして選曲もかなりイケイケ度合いが高く、エンターテイメントとして洗練されつつある印象がある。最後のメドレーに於ける盛り上がり、客(囚人だが)とのやりとりも含めて「Folsom Prison」盤と一緒に聴くと違いがあって面白いのであった。いや、それにしても映画を見た、ということもあるがJohnny Cash、もっと聴きたいのう、という謎の情熱が止むことを知らず状態で、大層困っている。